【後記】TOWERのこと

サイトを始める5年以上前から原案があった話です。後にできた『Beast Game』という話とリンクさせ、不必要な部分を削ったり、少し設定を加えてみたり、「白い鳥」を主軸にしてみたり……して、できた結果なのでした。原案からあまり遠ざからないようにしつつ、突拍子もなく飛ぶ部分部分を何とか繋げていくことは難しい反面、当時の自由気ままさが羨ましくも思います。ともかく、当時「タロットのやつ」と言って題名すら無かったものが、こうして一つの形にできて良かったと思います。

マジシャン のこと

タロットで言うところの「スタート」ということで、本当は彼女の占いから話がスタートする予定だったのですが。主軸をなるべくはっきりさせようと意識した結果、登場回数自体が非常に少ないキャラとなってしまいました。人数がある程度出てくる話では、それも致し方ないのかな、と勉強になったキャラでした。

【魔術師】 △発展 神託 真実 ▼機会を失う

エステス(ハイプリースティス) のこと

背筋がピンと伸びた、かっこ良い女性が理想でした。今はまだ成長の過程ですが、歳を取るごとに素晴らしい女性になっていったら良いな、と思います。知性と女性的な意味合いが強いカードのようですが、そんな感じの人物に描けていたでしょうか?

【女教皇】 △聡明 理知的 女性 ▼不公正

エンプレス のこと

元々は盲目という設定でしたが、それではかなり旅が厳しいものになってしまうので、極端な弱視ということにしました……あまり変わりませんか?母性愛というか、懐の深いカードに見受けました。彼女の包み込むような温かさが実際に生かされてくるのは、話からしばらく経って以降のことでしょう。

【女帝】 △思いやり 進展 繁栄 ▼過保護

エンペラー のこと

エステスやエンプレスとは逆に、男性的な意味合いが強いカードです。性格というよりは、外見としての男性的な部分を強調して設定されたキャラでした。話中で、エステスに大陸へ遊びに行くということや、今度スープのレシピを教えようという、結局は永遠に果たされることのない約束を交わすシーンが出てきます。元からこういった最後を迎える設定だったものに、あえて付け加えたシーンの一つでした。

【皇帝】 △行動力 成功 男性 ▼不安定

ファント(ハイエロファント) のこと

『エース・オブ・ペンタクル』が堕ちる時、ハングとのやり取りや研究員を逃がすシーンが本当は入る予定だったのですが。なんとなく話の流れ的にバランスが悪くなりがちだったので、削除してしまいました。てきぱきと動くシーンが無くなってしまったおかげで、終始何かに迷っている印象がより強くなったキャラクターです。

【法王】 △信頼を得る 正しい忠告 ▼孤立無援

ラバーズ のこと

姉妹で1番、女性らしく、華奢な人物というイメージでした。エンプレスとの仲は、これからといったところです。話中でも、見送りに出てみたりと、接する機会を増やそうと努力しているシーンを出してみました。彼女は自治領主であるフールの傍にずっとい続ける身なので、時間的にも精神的にも大変なのは、むしろ話後のことでしょう。

【恋人】 △魅力的 決着 愛の強さ ▼移り気

チャリオット のこと

過去の設定では、塔内の案内役の名前でした。ジャッヂメントに似た少年のホログラムです。しかし、実際にジャッヂメントと名乗った方が一層気味が悪い感じがしたので、フールの私物であるプロペラ機の機種名に変更となりました。

【戦車】 △勝利 障害の克服 ▼敗北

ストレングス のこと

ジャスティスの親友ということですが、歳は離れていると思います。塔の内部、ジャスティスの事情をよく知る人物ですが、攫われてみたり、案内役を譲ってみたりしていたおかげで、登場が少なく、謎なキャラクターとなってしまいました。原案を見て一番困った人物ですが、彼女がいないとまた転がりどころが外れてしまいそうだったので、あえて残しました。

【力】 △勇気 強い意思 危険を伴う決断 ▼敬遠される

ハミット卿・ハミットの娘 のこと

全ての元凶であるハミット卿は、たとえ人形でも娘さえ戻ってこれば、それで良かった人です。だからと言って、元妻に付いていったホイールのことがどうでも良かった、というわけでもないのかな、と。ただ、父息子というよりは、ハミットの娘に関しての同志という感じかもしれません。ハミットの娘は、オリジナルよりも精神的に幼い印象です。両親の離婚や事故に遭ったことなどは、彼女の中には無いのだと思われます。

【隠者】 △英知 助言 真実を照らす光 ▼孤独 分別なし

ホイール のこと

過去は研究員、現在は作家で、近い将来には童話にも取り組もうとしているなど、芸が幅広い人物です。仲間のリーダー役でありながら、完全なる脇役です……が、実は彼がいないと、次の話が無いことになる非常に大切なキャラクターです。

【運命の輪】 △物事の好転 分かれ道 ▼誤算 望まない変化

ジャスティス のこと

とても優秀な科学者なのですが、出番がまったく無いため、いまいち生かせなかった感じがします。悲壮な印象が出ているといいな、と思います。塔の内部のことを考えると、最終的には兄との関係もある程度修復できていたはずです。

【正義】 △均衡 調和 平等 ▼不平等

ハングマン のこと

一つのこと、というよりファントに異常な執着心のある人物でした。同じく幼馴染のフールが事故に遭ったとしても、こんな事にはならなかったでしょう。心友と悪友では質が違う、といった感じかもしれません。作者であっても、彼の心はいまいち掴みきれませんでした。

【吊られた男】 △忍耐 不滅の魂 ▼報われない

デス のこと

活発で、いたずら好きな、等身大の少年を目指しました。エンプレスと気が合ったのは、同じ年頃の友達ができるかもしれない、という思いが双方にあったことも強いと思われます。両親の死。能力からの解放。森の中から大陸へ引っ越したことによる、生活環境の変化。彼にはこれから乗り越えていかなければならない多くのことがありますが、エンプレスと一緒なら大丈夫だろうと期待しています。

【死神】 △終結 別離 突然の事故 ▼開放 再生

ランス(テンパランス) のこと

デスやデビルと気持ちよく喧嘩ができる、これまた等身大の少年を目指しました。話を戻したり、壊したりするのが、彼の役どころだと思います。話には出てきませんでしたが、彼もラバーズと一緒で、攫われかけたところをストレングスに保護された過去があります。そのまま居候していますが、無職ではありません。それは駄目だろうと思ったので、ちょっとでも働いてますよ的なセリフを入れてみました。

【節制】 △調整力 成長 受容する ▼不和 衝突あり

デビル のこと

ストーカーのようにエステスを見守ってきた天の遣いです。「白い鳥」が主軸になったので、見た目の白い部分と飛ぶ場面が強調されました。人を小バカにした言動をしばしばするも、根は優しい天邪鬼な感じの悪魔にしてみました。こういう設定のキャラクターを動かすのが、どうやら私は好きなようです。

【悪魔】 △束縛される 盲従 ▼束縛からの解放

 のこと

この話のタイトルでもありますね。タイトルを付けるのがどうも苦手な私は、これが中心なんだから、これでいいや! と決めてしまったのでした。あまり良くない付け方ですね。音楽を聴いていると、書きたいシーンが浮かんできたりします。音楽はとても大切なものです。塔の内部のイメージは、光田さんの『an cinniuint』内にある『魔王決戦』でした。

【塔】 △崩壊する 友人との別離 解散 ▼窮地に陥る 別れ

星の間 のこと

ランス・ストレングスが残った場所です。描かれた正座は、オリオン座を意識しました。

【星】 △明るい未来 自由 奇跡 ▼不信 不運

月の間 のこと

フール・デビル組とハングマンが対峙した場所です。同時に、ハングマンとファントが別離した部屋でもあります。

【月】 △曖昧 不安定 裏切り ▼誤解が解ける 不安解消

太陽の石 のこと

呪縛から解放されるための石でした。ファントが主人公だったら、かなり精神的に痛い場面になっていたかもしれません。

【太陽】 △ 誕生 幸福 友情の始まり ▼離別 不安 損失あり

ジャッヂメント のこと

シリアスな部分が強い人と思いきや、事故前にはワンドと悪友をやり、ハミット卿を慕い……といった、充実した青春時代を過ごしていたこともあるようです。

【審判】 △復活 償い 決断 ▼心残り

地図の間 のこと

エステスとファントが対峙した部屋です。描いてないのが残念ですが、水の青と陸の緑が描かれた、とても綺麗な床だったはずです。それを帰りに踏みつけるようにして走る様は、意識的に描きました。けして大団円にはならない話を考えてのことです。

【世界】 △目的を達成する 大団円 ▼挫折 調和が崩れる

フール のこと

ハミット卿によって、ある意味いい迷惑を被った人物でした。が、幸いにもフールは愚かな人ではなかったので、立場を大いに利用しています。幼馴染3人組の中で……というか、登場人物の中で一番器用に生きている人ですね。周りが不器用すぎるとも言えますが。原案では、彼はハングマンの怒りを買って命を落とすことになっていたのですが、この話にも続きができ、学都に無くてはならない存在となったので、命拾いしました。塔版ファントも、この方が救われて良かったと思います。

【愚者】 △ゼロからのスタート ▼間違い 中断する

ソード のこと

原案ではまったく登場しなかった人物ですが、続編に繋がるものの一つとして登場させてみることにしました。ワンドの補佐としては合格点で、出して良かったと思います。なんとなくしっかりした人だろう、という印象しかありませんでしたが、彼女の人となりが少し見えてきた気がします。そういう点でも、良かったです。

【剣】 トランプ=スペード

ワンド のこと

ジャッヂメントの代弁者として、一番最後を締めてもらいました。これは、原案からそのまま移行されたことです。彼の学生時代を見てみるのも、面白いかもしれないなと思いました……もちろん、さすがに今は4兄妹の母親に横恋慕なんてことはないです、たぶん。

【棒】 トランプ=クラブ

聖杯 のこと

名前を出そうと思っていたのを忘れ、うっかり永久欠番となってしまいました。母親の名前にするか、フールの高級ホバーカーの車種名にするかで迷っていたのですが。両方っていうのも、ありかもしれません。

【聖杯】 トランプ=ハート

ペンタクル・エース(Ace of Pentacles) のこと

空飛ぶ研究所の正式名称です。大きな円盤に、翼と頭と尻尾が生えた感じです。デビルの髪色と能力、ペンタクル・エースの形状から「白い鳥」を主軸にすることに決めました。展開的にさらっと流れましたが、面白い仕掛けがたくさんありそうなところです。

【金貨のA】 △はじまり 大切 豊作の願い ▼計画の失敗 間違ったスタート