国内風力発電向けの政策変更の影響?

2011
年末までに発電施設が完成していないとNAS補助金なし

太陽・風力過当競争、世界各地で風弱まる、NAS電池の将来期待が大幅に縮小

 前からなぜ日本の風車事業者は日本国内のセコイ話しばかりでグジグジしていて、アメリカや中国の砂漠や荒野にガバッと風車を建てるような世界の市場に打って出て行かないのかと思っていたが、三菱重工にしてそれなりに難しいことが有るようである。「三菱重工|海外での風力発電設備の受注活動におけるリスク分析と対応。」

 もちろん最近でも日本風力開発の「マレーシアでのスマートグリッド蓄電制御システム受注−200億円」なんて話もあったがその後どうなっているのだろうか。株価は一時よりは戻したがそんなに景気が良いとも思えない。それにはそれなりの理由が有ったようだが、特に最近の急激な円高ではどこも海外展開は一層難しかろう。


 それにしても、どうも風車産業自体が日本的な”詐欺的”なセコイ話ではなく、世界的にも必ずしも楽な展開ではないようだ。以下の記事は日経新聞の電子版の登録会員(無料)になればだれでも読めるし、多分、最近のNHKや新聞のように直ぐ消えてしまうような事はないと思うので、全文のパクリはしなくても良いのだが、登録が結構面倒なのでまとめてコピペ。

1)太陽電池や風力設備大手、過当競争で赤字相次ぐ 4〜6月期 (2010/8/27日経)  

 【フランクフルト=下田英一郎】世界の再生可能エネルギー設備大手の業績にブレーキがかかっている。受注競争の激化やユーロ安による輸出採算の悪化などが逆風となり、2010年4〜6月期は太陽電池の尚徳太陽能電力(サンテックパワー、中国)や風力発電機のヴェスタス(デンマーク)などが最終赤字に転落。米ゼネラル・エレクトリック(GE)も風力発電事業が苦戦した。市場自体は今後も拡大が続く見通しだが、過当競争にも拍車がかかりそうだ。

 各社の業績を左右した一因が主要市場である欧州の経済危機とユーロ安の進行だ。サンテックは4〜6月期の最終損益が1億7500万ドル(約150億円)の赤字だった。前年同期は1千万ドルの黒字。不採算事業撤退による損失やユーロ安による6100万ドルの為替差損が重荷となった。

 インドの風力発電機最大手スズロンエナジーも最終損益が91億2200万ルピー(約170億円)の赤字。赤字幅は前年同期のほぼ2倍に膨らんだ。4〜6月期の平均為替レートでユーロは対ルピーで13%下落。スズロンにとって14億ルピーの減収要因となった。

 ヴェスタスは経済危機の影響で欧州での風力発電プロジェクトの計画延期が相次ぎ、システムの出荷量が前年同期比で半減。最終損益は1億1900万ユーロの赤字(前年同期は4300万ユーロの黒字)となった。

 価格競争も激化した。太陽電池世界最大手の米ファーストソーラーは売上高が12%増、純利益は12%減の増収減益。4〜6月期に生産量は約2割増えたが、販売価格の下落が足を引っ張った。

 GEは風力発電用タービンの4〜6月期の受注実績を前年同期比32基増の248基に伸ばしたが、受注価格は8%下落。GEのキース・シェリン最高財務責任者(CFO)は「風力発電に限らず、代替エネルギー全体で見ても価格下落圧力が強まっている」とみる。

 一方、太陽電池大手の独Qセルズは、コスト高だったドイツ国内の生産ライン閉鎖などのリストラ策を昨年実施。収益力が回復し、営業損益は5四半期ぶりに黒字回復した。独シーメンスもユーロ安を追い風に再生可能エネルギー事業の4〜6月期の受注額が26%増。「欧州の主要な風力発電プロジェクトの受注に成功した」(同社)。

 世界風力会議(GWEC)によると14年までに世界の風力発電容量は09年実績比で2.6倍の4億900万キロワットに拡大。太陽電池市場も欧州太陽光発電産業協会(EPIA)の予測によれば14年には09年の4倍の約3千万キロワットまで増える。

 だが韓国サムスン電子が太陽電池に本格参入するなど競合も増加。価格競争の激化や欧州経済危機による普及支援制度の縮小など不安定要因も多く「今後、淘汰が始まる可能性がある」(太陽電池メーカー幹部)との声も出始めた。

 オバマ政権が再生可能エネルギーの普及を急ぐ米市場の開拓を急ぐ動きも目立ってきた。EPIAによれば、10年の米国の太陽電池市場は発電容量ベースで60万〜100万キロワットの見通し。これが14年には普及政策次第では最大600万キロワットまで拡大するという。


2)風力発電に難問、世界各地で風の勢い弱まる (2010/10/24日経)

 この数十年、地上を吹く風の勢いがジワジワと弱まっていることが、関心を呼んでいる。地球温暖化に伴い大気の対流パターンが変わったことや、地上の樹木など植生の変化が影響しているとみられるが、はっきりした原因は不明。このままのペースで風が弱まると、風力発電がやりにくくなると心配されている。

 フランスと英国の共同研究グループが、北半球約1万カ所の観測データのうち信頼性の高い約800カ所で、1979年から2008年までの30年間にわたる風速の変化を計算した。 

 その結果、全体の73%の観測点で風速が遅くなっており、その大半で5〜15%減少していた。風の勢いが平均的に弱まるというよりは、強い風が吹く頻度が少なくなる傾向が見られるという。17日発行の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(電子版)に発表した。

 これまでも中国や、オランダ、米国、オーストラリアなどでは風速の低下が報告されていた。今回の研究はこうした事実を詳しく裏付けた。研究グループは風速が低下する傾向は60年代から始まっている可能性が高いとみている。

 風が弱まった理由として、研究グループが有力視しているのが、植生の変化などによって地上の凹凸が増えたことの影響。植林した樹木が高木に育つと、風のエネルギーを吸収して風速が弱くなる。実際、衛星観測によって植生の増加が確認された付近では、風速の低下が著しいという傾向があった。

 もう一つ想定されるのが気候変動との関係。温暖化によって気圧と温度の分布が変化することで、風の吹き方も変わる。一般には、温暖化は北極など高緯度の地域がより進むため、低緯度と高緯度地域の温度差は小さくなる。このため風の勢いも弱くなるという見方がある。

 研究グループは今回調べた北半球の風速低下に関しては、植生の変化の影響の方が、気候変動より大きいとみている。

 現在、多くの国で大型の風車を使った風力発電が活躍している。今後も風の力が弱まると、風力発電に適した場所も減るかもしれない。

 今回の研究は地表付近の風速を調べており、大型の風力発電装置を動かす地上50〜100メートル付近の風も同様に弱まっているかについてはほとんどデータがない。この点を確かめるため、研究グループは、今後、風力タービンがとらえる高さでの風の変化も調べたいとしている。(編集委員 吉川和輝)



3) 日本ガイシ(5333)は5日ぶりに反落 NAS電池関連案件について過度な期待は禁物との見方(2010/10/19 日本証券新聞ネット)

 UAEのルベニウス社がメキシコのババカリフォルニア州に1GWのNAS(ナトリウム硫黄)電池の設置を決めたことを受け、昨日には受注獲得期待が高まったものの、本日は利益確定売りに沈む展開。5日ぶりに反落している。

 クレディ・スイス証券では、投資判断「Neutral」と目標株価1,350円を継続。
 会社側に確認したところ、ルベニウス社からの引き合いはないとの回答を得たため、今回のルベニウス社の件に対して過度な期待は禁物とコメント。
 同社はNAS電池の大型受注に際してはリリースを出しており、今回会社側が否定した点を踏まえると受注確度は高くないと判断。
 また、現状の為替水準で仮に受注できた場合でも赤字受注の可能性があるため、現実性がない。
 11年3月期のNAS電池の営業利益率は8.3%と推定されるが、これは円安水準で受注したNAS電池が売上計上されているためで、1ドル=80円台前半で受注すれば赤字になると推定している。

 日本ガイシ(5333)の株価は13時36分現在、60円安の1,521円。


4) 日本ガイシ(5333) NAS電池の将来期待が大幅に縮小。ゴールドマンサックス証券で「買い」→「中立」(2010/10/29 日本証券新聞ネット)

 日本ガイシ(5333)は2011年3月期の営業利益見通しを340億円(前期比45%増)→300億円(前期比27.9%増)に下方修正した。
 ゴールドマンサックス証券は投資判断を「買い」→「中立」に、目標株価は1,800円→1,500円に引き下げた。NAS電池の将来期待が大幅に縮小と解説。
 NAS電池は、(1)国内風力発電向けの政策変更の影響(2011年末までに発電施設が完成していないと補助金なし)、(2)海外はアブダビ案件以外が殆ど遅れ(客先の資金調達難)、から今期売上計画が従来300億円→今回160億円(大幅赤字)、来期も踊り場(大幅売上増は難しく赤字も残る)の見込みと指摘。(W)


 日本ガイシは「碍子の電力関連事業で世界大手。自動車排ガス浄化用触媒担体などを扱うセラミックス事業や環境装置のエンジニアリング事業、半導体製造装置用セラミックス等のエレクトロニクス事業も展開している。」し、特に、「出力変動の大きな風力発電太陽光発電などの大規模な電力貯蔵用に作られ、昼夜の負荷平準などに用いられたり、出力を安定化させたり、需要家に設置して、割安な夜間電力の利用とともに、停電時の非常時電源を兼用できる、」ナトリウム・硫黄電池は、NAS電池あるいはNASと呼ばれるがこれは東京電力の商標で、日本ガイシが製造している。(from wiki


 ダラダラと長い引用をしたのは、4)-(1)国内風力発電向けの政策変更の影響(2011年末までに発電施設が完成していないと補助金なし)が、国内の風力発電事業者に各地で風力発電施設等の建設を急がせている事情の一つではないか、と言うだけのため。と言うのはご承知のように昨今電力会社としては風力発電会社からの買電はNASとのセットを条件にしているところが増えてきているわけで、風力発電会社としては、これがセットで無いと本当に風車を建てただけと言うことになってしまうのでは無かろうか?

 そして、私なんぞは最近耳目に知るようになったのですが、「シェールガスと呼ばれる天然ガスの生産が拡大」しているようなのです。

2010/10/29


最後まで読んでくれてありがとう。

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