バリアフリーとは… | |||||||||||||
バリアフリー=バリア(障壁、さえぎるもの)がないこと | |||||||||||||
バリアフリーとは、障害のある人が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去するという意味で、もともとは昭和49年(1974年)に国連障害者生活環境専門家会議が「Barrier Free Design」という報告書から建築用語として登場し、建物内の段差の解消等物理的障壁の除去という意味合いが強いものの、より広く障害のある人の社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なすべての障壁の除去という意味でも用いられている。 | |||||||||||||
辞書によるバリアフリー【barrier free】の意味(有斐閣 経済辞典) | |||||||||||||
高齢者が暮らしやすいように、物理的・精神的・社会的障害(バリア)を取り除くこと。これによって高齢者や心身障害者が若い健常者と同様に暮らし、社会参加することが理想とされる。 | |||||||||||||
一般的に4つのバリアがあるといわれている。 | |||||||||||||
・物理的なバリア | |||||||||||||
段差があったり、幅員が狭かったりして車いすで通れないなど、物理的なもの。容器の形が同じで、目の不自由な方はわからない。画面タッチ式のキャッシュコーナーは目の不自由な方はキーをタッチできない。 | |||||||||||||
・制度的なバリア | |||||||||||||
障害の有無や級によって資格などが制限されること。社会のルールも含まれる。盲導犬連れが利用できないホテル、レストラン。幼児連れおことわりのお店。 | |||||||||||||
・文化・情報面でのバリア | |||||||||||||
文化活動をするチャンスや必要な情報が平等でないこと。カルチャーセンターの講座に手話通訳や託児がなかったりすること。列車事故の車内放送が耳の不自由な方に届かなかったり、目や耳の不自由な方への情報が不十分なことなど。 | |||||||||||||
・意識上のバリア | |||||||||||||
認識不足のためやさしくない街をつくってしまったり、言動によって相手を傷つけたりする心のバリア。駅前の迷惑駐輪。通学路や車いす用駐車スペースでの迷惑駐車。店の前の点字ブロックの上に看板を置くこと。差別し、あざける心。無理解。 | |||||||||||||
運輸白書では4つのバリアがあると記述。その対策を述べている。 | |||||||||||||
・施設面のバリア | |||||||||||||
|
|||||||||||||
・ソフト面のバリア | |||||||||||||
・混雑面のバリア | |||||||||||||
・言語面のバリア | |||||||||||||
戻る | |||||||||||||
ユニバーサルデザイン(Universal Design)とは | |||||||||||||
ユニバーサルデザインという言葉は、米国ノースカロライナ州立大学の工業デザイナーだった故ロン・メイスという人が提唱したもの。彼は、ポリオで電動車椅子に乗っており、呼吸補助具がなければ生活ができないような重度の障害者だった。「今後、社会が必要とするのは、ある特定の人のためのデザインではなく、すべての人のためのデザインである」ということを1980年代のはじめから言い始めており、彼は「デザイン・フォー・ライフスパン」と呼んでいた。一人の人間が生まれて、乳母車に乗って、成人になって、体力ができてきて、それが徐々に衰えて、やがて杖や歩行器に頼らなければならないようになってくる。そういう人生すべてを通して使えるデザインが必要なのではないかというもの。 さらに、知的障害、車椅子、聴覚、視覚、いろいろな状況にある様々な人たち、そういう人たちすべてが使えるデザインが必要なのではないかとも考えていた。 |
|||||||||||||
高齢者や障害者にやさしい商品・サービスは「誰にもやさしい商品・サービス」となることを前提に「普遍性」を強調し、その結果、利用者が拡大し、価格がこなれてゆくことになる。 | |||||||||||||
バリアフリーのように後から車椅子専用トイレや視覚障害者用プッシュホン型券売機を作るのではなく、設計開発段階からあらゆるニーズを想定してデザインを考えるバリアフリーより一歩進んだ考え方。例えば、眼鏡やリフト付きバスはバリアフリーだが、コンタクトレンズや低床型バスはユニバーサルデザインである。 つまり、誰もが年齢や性別、身体的ハンディキャップを意識することなく、利用できる製品デザインのことである。 |
|||||||||||||
ユニバーサルデザインの7原則(ロン・メイス、訳:青木 茜) | |||||||||||||
原則の名前:原則の中に表現されている主要なコンセプトの簡潔で覚えやすい表現 | |||||||||||||
原則の定義:デザインに対する原則の基本的な指示の簡潔な説明 | |||||||||||||
ガイドライン:原則に従ったデザインに表現された主要な要素のリスト | |||||||||||||
原則1:公平な利用 | |||||||||||||
定義 | デザインはさまざまな能力をもった人々にとって、役に立ち、市場性がある | ||||||||||||
ガイドライン | |||||||||||||
1 | すべてのユーザーに対して同じ手段・方法で利用できること、つまり可能な限り、いつでも同一であり、少なくとも同等であること | ||||||||||||
2 | いかなるユーザーをも差別したり、特別扱いすることのないようにすること | ||||||||||||
3 | プライバシー、安心、安全のための配慮はすべてのユーザーに等しく確保されていること | ||||||||||||
4 | すべてのユーザーに魅力あるデザインをつくること | ||||||||||||
原則2:利用における柔軟性 | |||||||||||||
定義 | デザインは個人的な好みや能力の広い範囲に適応される | ||||||||||||
ガイドライン | |||||||||||||
1 | 利用方法における選択を用意すること | ||||||||||||
2 | 右利きと左利きのどちらでも適応できること | ||||||||||||
3 | ユーザーの的確で正確な操作を促進すること | ||||||||||||
4 | ユーザーの歩調に合わせられること | ||||||||||||
原則3:単純で直観的な利用 | |||||||||||||
定義 | ユーザーの経験、知識、言語能力、あるいはそのときそのときでの集中力のレベルに関係なく、デザインの利用が理解しやすい | ||||||||||||
ガイドライン | |||||||||||||
1 | 不必要な複雑さがないこと | ||||||||||||
2 | ユーザーの期待や直観とに一致させること | ||||||||||||
3 | 広い範囲での読み書き能力や言語能力に適応すること | ||||||||||||
4 | 情報の配列をその重要度に一致させること | ||||||||||||
5 | 作動中や完成後に効果的な指示やフィードバックを提供すること | ||||||||||||
原則4:認知できる情報 | |||||||||||||
定義 | デザインは周辺状況やユーザーの感覚能力と関係なく、ユーザーに対して効果的に必要な情報を伝達する | ||||||||||||
ガイドライン | |||||||||||||
1 | 重要な情報は、画像、音声、触覚といった異なったモードを用いて、冗長性の高い表現をすること | ||||||||||||
2 | 重要な情報とその周辺状況との間に適切なコントラストを提供すること | ||||||||||||
3 | 重要な情報の「読みやすさ」を最大限にすること | ||||||||||||
4 | 記述可能な方法で諸要素を区別すること(すなわち、説明書あるいは使用書を記述しやすくすること) | ||||||||||||
5 | 感覚的制限のある人々に使われている、さまざまな技術あるいは装置と互換性を提供すること | ||||||||||||
原則5:失敗に対する寛大さ | |||||||||||||
定義 | デザインは危険や予期せぬあるいは意図せぬ行動のもたらす不利な結果を最小限にする | ||||||||||||
ガイドライン | |||||||||||||
1 | 危険や失敗を最小限にするために要素を整えること、つまり、最も使われる要素を最もアクセスしやすくし、危険な要素を除外したり、隔離したり、遮蔽したりすること | ||||||||||||
2 | 危険や失敗の警告を発すること | ||||||||||||
3 | 失敗することのないような特徴をもつこと | ||||||||||||
4 | 警戒を要する作業において無意識な行動をさせないようにすること | ||||||||||||
原則6:少ない身体的な努力 | |||||||||||||
定義 | デザインは効率的に心地よく、最小限の.疲れの状態で利用される | ||||||||||||
ガイドライン | |||||||||||||
1 | ユーザーに無理のない姿勢で操作できること | ||||||||||||
2 | 操作においては無理のない力を利用するようにすること | ||||||||||||
3 | 反復行動を最小限にすること | ||||||||||||
4 | 持続的な身体的努力を最小限にすること | ||||||||||||
原則7:接近や利用のための大きさと空間 | |||||||||||||
定義 | 適切なサイズと空間が、ユーザーの体格や姿勢もしくは移動能力と関りなく、近づいたり、手が届いたり、利用したりするのに十分に提供されている | ||||||||||||
ガイドライン | |||||||||||||
1 | 座ったり立ったりしている、どんなユーザーに対しても、重要な要素がはっきり目につくようにすること | ||||||||||||
2 | 座ったり立ったりしている、どんなユーザーに対しても、あらゆる構成要素に心地よく手が届くようにすること | ||||||||||||
3 | 手のひらや握りのさまざまな大きさも許容できるようにすること | ||||||||||||
4 | 援助装置もしくは人的援助を利用するために十分な空間が提供できること | ||||||||||||
戻る | |||||||||||||
ユニバーサルデザインのキーワード | |||||||||||||
障害者(広い意味では制約を受けている人)というと、とかく区別された人という見方が多い。したがって、障害の差によって、生活のデザイン(例えば、家のつくりや使用する器具)も一般の健常者とは違うものと考える人が一般的である。確かに、障害の違いによる矛盾(よく例えられるのが視覚障害者用の誘導ブロックと車椅子利用者との関係)が現実に存在し、そのために、どっちつかずの対策が施される場合もある。しかしながら、ユニバーサルデザインの向かう方向はもっと普遍的なものであり、そのための商品開発や施策がとられることが理想である。 反面、理想と現実のギャップもあり、個別対策と位置づけられるバリアフリー化を当面の対策として講じる場合が多い。 |
|||||||||||||
一方、障害者自身は健常者(ここでは何も制約を受けない人の意味)に対してはなるべく特別視されたくないというのが本音ではないか。人の助けを受けずにやれることは自分自身でやりたいという要望もあろう。そのためには誰が見ても無理して使用しているのでなく、格好良く利用できることが必要ではないか。 また、健常者にとっては使いやすい、わかりやすいことがもっとも求められるのは疑いのいのないことである。 |
|||||||||||||
そこで、ユニバーサルデザインのキーワードとしては | |||||||||||||
「障害者には格好良く、健常者には使いやすく」 | |||||||||||||
を提案したい。 | |||||||||||||
戻る |