カリヤス
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 古くからの染料 カリヤス
        今でも比較的容易に手に入ります
 

《カリヤス(刈安)》


(カリヤスでの染め)

 古くからの有名な染料植物の一つであり、天平時代には庶民の衣服染料として一般的であったと
思われ、「延喜式」(927年) にカリヤスを用いて染め方が記されています。
当時は黄色染めにキハダ(黄柏)、クチナシ(山梔子)、オウレン(黄連)等が用いられましたが、
カリヤスは山地に普通に自生の草本であり、安価で容易に採ることができるので染料として人気が
あったと思われます。江戸時代には各地で栽培もされた記録があります。
その後化学染料が誕生すると、植物による染色は押されカリヤスの栽培地は皆無となったようです。

 カリヤスでの染めは、穂の出る前に好天を選んで全草を刈り取り、乾燥して、随時染めに応じ、
熱湯で煮出してたものを染液とします。












1)カリヤスの乾燥させたもの      2)お湯で煮て抽出












3)綿布を染めます           4)銅媒染と鉄媒染の布

 また、アイ(藍)との交染で緑色に染めることも行われます。これはカリヤスのアルミ媒染で
黄色に染めたものに藍を交染して緑色を出します。



(カリヤスについて)












 カリヤス(刈安)は刈りやすい草の意味であり、古い名前をカイナ(加伊奈)と言いました。
ススキに大変よく似た少し小型の多年生、イネ科の草本です。近江国(滋賀県) 伊吹山に多く産す
るのでオオミカリヤス(近江刈安)、イブキカリヤス(伊吹刈安) とも呼ばれ、山地に多い所から
ヤマカリヤス(山刈安)、白川地方ではコガヤと呼ばれています。日本の本州山地の特産種であり、
よく自生し群生するのが見られます。
茎は株立ちとなって、高さは約1メートル、葉は茎の節につき、質は薄く、やや巾広い線形で、表面
にはまばらに粗い毛があるのでざらつきます。秋になるとススキのように数条の穂状花序を掌状に
茎の頂きに付けます。それぞれの花序には芒(ノギ) のない多数の小穂が付きます。

 薬用には秋期に地上部(茎と葉)を刈り取り乾燥させておき、用事煎じて、煎汁で悪瘡を洗い、又
蕎麦を食べ過ぎたときにはこの煎液を飲めば消化を助けると言われています。カリヤスの根の浸液は
家兎小腸の自動中枢マヒ作用があることが知られています。


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