ネットで知る「風車建設&騒音被害への道」
小樽銭函、岡山津山、兵庫北淡路、和歌山海南
1)小樽銭函風力発電所計画
と言うことからホンの一ヶ月経つか経たぬかの10/18に銭函風力発電所に関する札幌市「銭函風力発電所環境影響評価書案」検証専門家会議の結論が出されたようだ。その結論はやはり「おおむね妥当」とするモノだった。
さて、その前に、銭函風力発電所の経緯を私なりに整理しておきたいと思う。と言うのは、これまでの多くの風力発電騒音問題では、建設は”抜き打ち的に、詐欺的”に進められ、行政からのOKが出るに至る経緯を知ることは出来ず、私などが知るのは「建設しまーす」or「被害がある」と言う報道だけだったからである。
従って、銭函のように、これほど建設前の経緯がネットと言う、一応公開で知りうる状態で経過情報が詳しく知りうる例は、私の知る限りでは初めてだと思う。本来はこうあるべきなのだが現実としては稀有な例となったと言えよう。
その大きな理由は、建設が山奥や岬の先などでなく比較的都会近辺であること。そして更に当地の環境保護団体が早めに動いたこと。そして、行政が、一応形なりとも”スジ”を通そうとしたこと。そして、地元メディアが積極的にネット上に情報を載せた事であろう。ここまでやられていれば事業者も今後もそんなに無茶苦茶は出来ないとは思うのだが…。
@2009/05/15 銭函地区に風力発電所計画 高さ100mの発電機20基建設(小樽ジャーナル)
山田勝麿小樽市長は、「…。地球温暖化に防止に対し、再生可能エネルギーの導入促進が近々の課題である中で、このたびの計画はまさに社会的にも大きなものと考えます。資機材の調達、建設工事に伴う地元経済にも大変大きな波及となると考えます。関係機関の協議が進められまして、大容量蓄電池を併設した風力発電所が早期に設置されることを願っている」としている。
と言うことで、全面的に賛成のようです。これ以前には一般市民は知らなかったのであろう。少なくとも「関係機関の協議」には加わっていたならこの時点以前に"銭函海岸の自然を守る会"などは設立されていたであろうからであり、少なくとも環境保護という視点は「関係機関」には無いことになるのであろう。やはり、”一般当事者”にとっては”寝耳に水”なんだ。
A2009/10/02 銭函海岸の自然を守る会発足 風力発電の影響訴え(小樽ジャーナル)
小樽市銭函地区での風力発電施設計画が浮上したことに伴い、「銭函海岸の自然を愛し、生態系全体を守りたい」と、北海道自然観察協議会の後藤言行会長と、小樽の日本自然保護協会自然観察指導員資格者20名、野鳥の会小樽支部会員などが集まって結成した。また、札幌の野鳥愛護の会の会員や学識経験者なども賛同している。"銭函海岸の自然を守る会"が、7月14日に結成されていた。
北海道自然観察協議会の後藤言行会長は、「風力開発(株)が行っている調査の内容をようやくのことで見せてもらいましたが、方法書で抽出された重要な植物20種のうち90%は砂丘上には生えない植物です。オジロワシが風力発電機にぶつかるという問題が取り沙汰されているが、カラスなら問題にならないという話ではない。一度潰したら砂丘は回復しない。非常に脆弱でまだまだ知らない貴重な自然がある。見たことも聞いたこともない北海道にない植物の名前を並べて、調査しましたというのではインチキとしか言いようがない。風力はクリーンだと言われているがまやかし。低周波音の問題もある。環境評価のやり方がインチキでは、風力発電機を建てることには反対だ」と強く訴えた。
これを受けて、同社の開発本部・立地開発部調査グループは、「風車を建てられるところは全国的に限られている。やり方の問題はあったが、要望があれば少しでも応えたい。計画場所は、風車を陸に揚げる港に近く、風境が良い。もう一度全体的に調査を見直すことにする。評価書案をまとめる時には、納得いただけるようにしたいので、またご相談させて頂きたい」(佐久間日良次長)と答えた。
「やり方の問題はあった」と事業者も認めているのである。しかし、「事業者としてはこれまで以上に、場所の選定を厳選し、一度申請すれば、二度や三度、ハネられたくらいで、諦めていては、事業として丸損額が増えるだけのことになる訳であるから、…一度白羽の矢を立てたら、まず、そうそう簡単には諦めることはないと住民は覚悟すべきである。」(風車問題は誰が責任を取るのか5)
C2010/04/18 小樽市銭函の風力発電計画(読売)
これまでの総括的内容。
山田市長は、「立地予定のところに小樽市の人はいなく、1km離れたところに手稲の人が住んでいる。手稲区長にあった時、会社側に説明会をやって欲しいと要請したと言っていたので、それはそれで、住民の理解が必要だと思っているのでやってもらいたい。市としては、引き続き誘致したいと思っている。それはそれで変わりはない。
環境省の方でも、低周波の影響があるか調査をしろと言っているので、それはそれでやってもらう。どれくらい影響があるがわからないが、銭函から住宅地まで 1km弱くらいだから、心配はないのかなと思っているけど。
石狩砂丘には、バギー車がどんどん入り込んで、現場がひどいので、自然形態というかなんというか、荒れ放題ということがある。そういう状況を放置してきたということがどうなんだということもあり、現状では立ち入り自由なので、建設されれば保全されるのかなと思う」と述べた。
市長の”荒れ地”を有効利用して何が悪いかと言うことなのだろう。そして、風車に関しても我関せずの人のもっとも一般な感覚であろう。
E2010/06/24 小樽市銭函風力発電計画 札幌で初の住民説明会
建設予定地である銭函4・5丁目は小樽市の行政区域であるものの、海岸と工業用地が広がっているのみで小樽市民は住んでいない。風車に最も近い1.1kmの距離に住むのは、手稲区の市営山口団地の住む札幌市民だ。「実害は札幌市民の方がたくさん受ける可能性がある」
銭函地区が行政的に飛び地的になっている点が問題点の一つなのかも知れない。考えてみれば、風車が建つ地域の多くの農産漁村、島などは行政の中心部から見れば”飛び地”なのかも知れない。
説明会では技術コンサルティング会社である風力エネルギー研究所の担当者がまず、今回の事業に関わっていない中立の立場であることを表明。再生可能な風力発電の計画を推し進める意義を強調したのちに、低周波音について説明した。
「グーグルやヤフーで検索するとさまざまな情報が出てきます。そのなかには『風車から人体に悪影響を与える低周波音が発生する』、『低周波音は距離があっても減衰しない』、『低周波音は壁を貫通するから防音対策は無意味』、『低周波音は脳や内蔵に直接作用する』、『風車が建つと小鳥がいなくなり、草木もなくなる』、『風車が建って家畜に奇形が発生した』などなど…。いろいろ出てきますが、最初に言っておきます。これらはすべて正しくない。観測されていないことです」
「これらはすべて正しくない」と言うのは「正しくない」。その「そもそも」は前提とする言い回しが正しくないからである。
『風車から人体に悪影響を与える低周波音が発生する』→低周波音だけではない。低周波音を含む騒音が発生する。これが本当。
『低周波音は距離があっても減衰しない』→「減衰しない」とだれが言っているのだろうか。「減衰しにくい」のである。
『低周波音は壁を貫通するから防音対策は無意味』→二重サッシや防音サッシなど一般的な防音対策では効果は無いという夜悪効果が有ることは間違いない。意味のある防音対策をするには、家の壁から造り直すくらい無茶苦茶カネを掛ければOKである。
『低周波音は脳や内蔵に直接作用する』→これは私も一生懸命調べたが、格別誰も検証していないので、それこそ科学的に正しいとも正しくないともまだ言えない。
『風車が建つと小鳥がいなくなり、草木もなくなる』→猛禽類はバードストライクで居なくなりはしないが減るのでは無かろうか。草木は風車が建つ前になくなる。
『風車が建って家畜に奇形が発生した』→火のないところに煙は立たないどころか、台湾ではヤギが殺されていることをご存じではないのか。
そして、何よりも地元の専門家が、「見たことも聞いたこともない北海道にない植物の名前を並べて、調査しましたという」報告書を出しているのは「今回の事業に関わっていない中立の立場である」と言うからにはまったく別の会社なのであろうか。
F2010/09/08 小樽市銭函風力発電計画】風車建設を一部撤回
同社と山口団地連合自治会などの役員は協議し、当初20基だった風車建設を5基減らし、風車の建設は最終的に15基とすることに決めたという。
多分ここで、”地元との話”は付いたのであろう。
G2010/09/10 銭函の風力発電計画 5基減 環境評価書案を縦覧 ()
H2010/09/23 小樽市銭函風力発電計画 手稲区住民への説明会(北方ジャーナル)
「リスクがあるのは札幌市民。小樽市や会社にはリスクがない」、「小樽の山に風車を建てろ」などの声があがった。
「住民に健康被害の不安があるとして、札幌市は同社に説明会の開催を要請したが、住民の不安を払拭するにはまだまだ説明が必要なようだ。」
偶々、この時点ではまだ発表されていないが、平成22年10月7日環境省が、「全国の風力発電事業者、都道府県に対するアンケート調査を行い、風力発電施設に係る騒音・低周波音の実態を取りまとめました。」「風力発電施設に係る騒音・低周波音の実態把握調査」について(お知らせ) によれば「10基以上ある施設(58か所)では45%で苦情」があると言う。
風車が出来て、被害が有るかどうかはあなたの住宅の風車からの距離と付近の地形とあなたの居宅位置、構造などとあなたの低周波音の反応度合いなどの条件により異なるであろうが、もし風車被害が発症すれば、あなたが無くす可能性のあるモノは自分の健康、平穏な暮らし、土地建物などの資産価値、…、であり、得るそれまでの普通の生活であり、格別何もない。いや地球の温暖化進行に歯止めをかける風車建設に格別文句を付けなかったと言う自己満足だけではなかろうか。私から見れば何とも無意味な”丁半勝負”にだれが好んで参加するであろうか。札幌市民でなくても、自分の近くに風車は来て欲しくないであろう。
J2010/09/24 第1回 銭函風力発電所環境影響評価書案検証専門家会議
ここでの論点はここで整理されている。
K2010/09/24 隣町の風力発電所は大丈夫か専門家会議、開かれる(北方ジャーナル)
会社側は「専門家の意見を聞きながら判断をさせてもらっている。風車による低周波音は影響はない。問題になるのは、聞こえる部分の音で、距離を取るとか防音するとか対策をやれば問題ないと思う。200から300mに近いところは、音の問題があるかもしれないし、原因については何ら回答出来ないが、風車の超低周波音は影響ない」と答えた。
説明会後に開かれた記者会見で、松島社長は、「反対される方が、低周波の影響を訴えているが、我々は全国に風車を設置しているが、問題は起きていない。建設による生態系への影響は軽微」と訴えた。
もし、「問題になるのは、聞こえる部分の音」の部分だけとすれば、確かに防音で何とかなるはずである。そして、防音で何とかなるはずの音の部分こそが「聞こえる部分の音」であるはずである。であればこれまでの風車騒音被害で300m以上離れていても”防音”で遮ることのできない”騒音の影響”は何と説明するのか。それは「聞こえる部分の音」”ではない”のではないか。
「我々は全国に風車を設置しているが、問題は起きていない。」これはエコキュート問題で電力会社が用いた論法である。御社が「問題」と認識しなければ、「問題は起きていない」のである。
M2010/10/06 第2回 銭函風力発電所環境影響評価書案検証専門家会議
この会議は風車問題と言うより、現今における風車建設開始までの技術的な問題が委員と事業者の間で実質的レベルで戦わされた。それは本来ななら行政(代理)と事業者がこれまでの幾多の風力発電施設等の建設計画時に為されなければならなかったモノだと私は考える。詳しくは当該議事録「第2 回 札幌市「銭函風力発電所環境影響評価書案」検証専門家会議 議事録を参照。
ここで質疑の中心となった一つ、「騒音と低周波音について」は
○事務局(鈴木) 環境対策課長の鈴木でございます。
私から騒音と低周波音について、(前回出た質問点を)一括して説明させていただきます。
資料1をごらんください。
まず、騒音についてです。
1点目は、調査及び予測地点について、予測地点を調査地点から変更した理由、また、選定の妥当性についての質問です。
2点目は、予測対象風車について、まず、パワーレベルの出典及び設定条件についてです。次に、3分の1オクターブバンドパワーレベルなど、実測データについての質問です。
3点目は、予測結果について、まず、風車15基の合成騒音の予測方法についてです。次に、既存風車についての供用後の実測値、環境影響評価のデータについての質問です。
4点目は、環境保全措置について、モニタリングの調査頻度、また、具体的時期についての質問です。
次のページをごらんください。次に、低周波音についてです。
1点目は、調査及び予測地点について、予測地点が調査地点と異なる地点に設定した理由についてです。
2点目は、調査手法について、調査結果が参考指標値を上回っている理由を自然風の影響としておりますが、風の影響のない時間帯に調査したか、また、そのデータはどんなものかといった質問です。
3点目は、調査結果について、まず、3分の1オクターブバンド音圧レベルごとのデータについてです。次に、調査結果表の最大、最小、平均値の算出方法についてです。また、三つ目として、参考指標値の出典についてという質問です。
4点目は、予測手法について、風車の羽根と軸の交差が15基すべて一致し、音波の位相が合成され、最大音圧レベルになる場合の予測を行っているか、また、そのデータはどんなものかといった質問です。次のページになります。次に、予測地点が風下となった場合に、風向を考慮した予測値の補正を行っているか、そのデータはどんなものかといった質問です。
5点目は、予測対象風車について、まず、パワーレベルの出典及び設定条件についてです。次に、3分の1オクターブバンド音圧レベルごとの実測データについての質問です。
6点目は、予測結果について、まず、風車15基の合成低周波音の予測方法についてです。次に、既存風車の供用後の実測値及び環境影響評価のデータについての質問です。
7点目は、評価について、3分の1オクターブバンド音圧レベルごとの感覚閾値との比較データについての質問です。
最後の8点目は、環境保全措置について、モニタリングの調査頻度及び具体的時期についての質問です。
以上は第1回の会議で座長の長谷部氏が「影響評価書案」の重箱の隅を突くと言うと語弊があるが、何とも専門的なお話で、それに対し日本風力開発と言うよりコンサルタントが回答したのが、第2回の会議だった。事業者側の回答は国会での答弁みたいに核心をずらしているのではないかという点がも多々あったように考えるが、このコンサルとはどこなのだ。少なくとも「今回の事業に関わっていない中立の立場」である風力エネルギー研究所ではないはずなのだが。しかし、ここも「事業内容」として「風力発電の技術コンサルティング」を行っているのである。
そして、特に、極めて単純な疑問だが、騒音にも低周波音にもある「調査及び予測地点について、予測地点が調査地点と異なる地点に設定した理由」にはどのような正当性があるのであろうか。素人的には事業者の全くの”都合”に依るモノとしか思えないのだが。そして、騒音の測定と合成、風の影響などは技術的に必ずしも不可能ではないのであろうが、「そこまでの要求がない」と事業者は退けている。
さらに興味深いのは、「低周波音の参考指標値」(?)の出典が、「道路環境影響評価の技術手法2007年改訂版第2巻です。財団法人道路環境研究所というところが発刊しておりまして、2007年9月10日という日付だそうです。」という、「道路系のアセスの手法書がもとになっています」と言うことで、これまでの「低周波音問題」において全然”有名”ではない出典であった。環境調査会社でさえ、「非常に古い知見に基づいているもの」と言わざるを得ないような代物のようで、使ってはいけない「参照値」の方が知見的には新しくまだマシなようである。
そして、第2回会議の終わり際で、委員と市側で、以下のようなやり取りがされた。
○事務局(大江) すぐ出せるようなデータは出してほしいということでお願いしていますので、もらったデータで次回に検討が可能なものは、当然、そこで検討していただきます。あと、実際に間に合わないものについては、今検討しているものは評価書案ですので、最終的にはこれをさらにブラッシュアップして評価書が出ます。ですから、そこで、可能な限りというか、反映させるようにしていただきたい、そういったようなやり方になるのではないかと考えております。
○長谷部座長 その評価書については、我々はどう対応すればよろしいのですか。
○事務局(伊東) 評価書についてでございますが、これは法や条例に基づくものではなく、自主的なアセスメントであります。一般的な法令アセスですと、評価書案、法令では準備書と申しておりますが、準備書に対して市長なりが意見を言った後は、事業者がその意見を勘案し、評価書に記載するものとするとなっておりまして、その評価書に対しての意見という仕組みは法令アセスでもないところでございます。ですから、この評価書案の中で意見を言い、あとは事業者の裁量にゆだねるという仕組みでございます。今回の自主アセスに関しましても、NEDOのマニュアルに従ってやっているということでございますので、今回、この検証会議で札幌市長として意見を述べた場合も、評価書についてそれが反映されているかどうかを確認するぐらいまでかということと、あわせて、評価書は、NEDOマニュアルで申しますと法令と違って公告、縦覧対象にはなっていないということでございます。ですから、この専門家会議としては、評価書については事業者に任意で提出を求めて、それが先生方の意見として反映されているかという確認作業になろうかと思います。
○中井委員 景観の場合は、意見を申しましたけれども、その先がどうなるのかなということがやはり気になります。今回は、自主アセスですから、そこにこちらのそういった意見が書かれるということなのですか。それとも、それも取捨選択して内容を書いていくということなのですか。
○事務局(大江) 今回、この専門家会議でいろいろと議論していただきまして、最終的には報告書という形で市長あてに報告をいただきます。その内容については、できるだけ尊重いたしまして、基本的にはその内容をそのまま市長意見という形にして、事業者に対して10月25日までに提出することになります。その市長意見をいただいた事業者の方では、意見に対して必ず評価書の方に事業者見解を記載しなければいけないことになっていますので、こちらから出した意見に対しては何らかの事業者見解が評価書の方に記載されます。そこで、事業者として意見に対してどこまで反映して対応していただけるかということになると思いますが、そこは先ほど伊東係長から言いましたように事業者の裁量の部分にはなります。しかし、基本的には、こういう会議を経て市長意見として出したものですので、最大限尊重していただきたいというのが私どもの考えです。
このやり取りにこうした事業の結論が見えている。もし、この委員の方々が”中央を賑わす御用学者”であれば、まずは、こうした質問はしなかったであろう。即ち、評価書そのものの地位、さらにはそれについて論ずることの無意味さを当初からご存じで、こんな質問などはするまでもないことである。そして、こんな虚しい市側の回答を聞くことも無かった思う。でも一般市民としては良かった。公的な委員会が如何に全く無力、無意味であるかをハッキリと知ることが出来たから。
日当15,000円(とどこかに書いてありました)、3回で45,000円のお仕事は中央の"専門家"にはない真摯な「論撃」でした。それがとても短く終わってしまった事はとても残念です。お疲れ様です。足代は別途有ったのでしょうか。
それにしても、「NEDOマニュアルで申しますと法令と違って公告、縦覧対象にはなっていない」即ち、意味のないNEDOのマニュアルに基づき提出された評価書について論じ、その結果は「この評価書案の中で意見を言い、あとは事業者の裁量にゆだねるという仕組み」であれば、最早何をか言わんや、「一体全体自分たちは何を頑張ったのであろうか」と委員は思ったのではなかろうか。
何れにしても第2回会議のレスポンスとして、事業者側からそれなりの回答が有ったのであろうが、結局、第3回会議の内容はネット上で公開されることなく(10/20現在)、札幌市「銭函風力発電所環境影響評価書案」検証専門家会議の結論は10/18に出された。
その結論は、”大方の予想通り”、「おおむね妥当」とするモノだった。
県は、津山市の五輪原地区で計画されている風力発電施設「CEF津山ウインドファーム建設事業」に対する石井正弘知事の意見を発表した。事業予定地選定の根拠や希少野生生物など自然への配慮、輸送面の安全確保などを5章16項目にわたり要望している。
計画は阿波、加茂町の24ヘクタールの敷地に全長50メートルの羽根を備えた高さ135メートルの2500キロワット級風力発電機32基を建設。約70キロの地下ケーブルを通じ、総量8万キロワットを電力会社に供給する。
事業会社がまとめた環境影響評価準備書に対し石井知事は(1)事業計画と工事内容(2)地域特性への配慮(3)環境影響評価項目の選定(4)調査、予測、評価の手法(5)環境要素と対策−について注意を喚起。資機材輸送での道路への負荷低減や希少野生生物の生息確認と適切な対策、森林や景観保全への配慮、文化財発見への対応などを盛り込んでいる。
津山市加茂町五輪原地区で計画されている岡山県内初の大規模風力発電2 件施設建設で、事業主体の「クリーンエナジーファクトリー」(北海道根室市)は27日から環境影響評価2 件(アセスメント)の書類縦覧を始める。2010年の知事意見を踏まえて計画を見直しており、同社は「来春にも着工したい」としている。
計画は、開発面積を当初の24ヘクタールから5・1ヘクタールに縮小。周辺のブナ天然林の伐採を避けるため、風車も32基から19基に減らす。発電出力は8万キロワットから5万1300キロワットに下がる。
同社によると、評価書は知事意見に沿い、ヤマネなどの希少生物は原則3年間の生息調査を行い、発見した場合は専用の通り道や餌場を設けるなどの対策を取ることを明記。低周波2 件騒音については、最も近い民家まで1・4キロあることを挙げ、影響はないと考えられるとした。
27日から1カ月間、県環境企画課、津山市役所の本庁と加茂、阿波支所で縦覧する。同社は年明けから事業内容や工程について地元説明会を開く意向という。
関西電力の子会社「関電エネルギー開発」(本社・大阪市)が淡路市で建設する風力発電施設について、地元住民らでつくる「北淡路島風力発電を考える会」(丸井洋二代表)などが22日、環境影響評価の再審査を求める申入書を県に提出した。
申入書によると、同社は風車と近隣住宅との距離を実際より長く見せかけるなどして環境影響評価書を作成。近隣住宅で測定される騒音を国の環境基準値(45デシベル)以下になると結論づけた。しかし同会の計測では住宅との距離が不十分であり、騒音も基準値を超えることが予想され、将来的には大きな健康被害が続出すると主張している。
計画は2千キロワットの風力発電設備12基が建設される予定だったが、同会が今年1月に県公害審査会に調停申請書を提出し、建設計画がストップ。調停は9月21日に不調に終わり、同社は来年末までの稼働を目指している。
申入書を提出した同会の丸井洋二代表は「関電は事実を隠して審査を通過しており、やり直すべき。計画通りに進めばすさまじい健康被害が出るのは過去の事例などでも明らかだ」と話し、11月に同社と淡路市へ建設反対署名約1500人分を提出する予定。
一方、関電エネルギー開発は「審査は関係法令に基づき適正に行われており、再審査するつもりはない。住民の理解を得て事業を進めたい」と話している。
関電エネルギー開発(大阪市)が淡路市北部で建設を計画、一部着工している風力発電施設について、地元住民や周辺の別荘所有者ら約70人が22日、同社が作成した環境影響評価書に「虚偽やねつ造の疑いのあるデータが含まれ、適正な評価では騒音の環境基準に違反するのは明らか」などとして、建設中止を求め、兵庫県公害審査会に調停を申請した。
同施設は淡路市北部に風車12基を整備するもので、今年12月の稼働を予定。同社が作成した環境影響評価準備書は一昨年9月、県の審査会から「妥当」とされた。その後、国から事業費の半分の補助金を受けることが決まった。
ただ、地元住民らが「(影響を適切に予測すれば)風車から出る騒音や低周波音などで周辺住民に重大な被害が発生することは明らか」などと建設に強く反発。調停の申請人側はこの日の会見で「騒音の音源レベルを低く見積もったり、風車から民家までの距離を実際より長くして影響を予測したり、同社の環境影響評価には多くの問題点がある」と強調した。
関電エネルギー開発は「調停が申請されたことを知ったばかりで、詳細が把握できていない。現時点ではコメントできない」としている。
県によると、同社は昨年12月、県条例に基づき、同施設設置を届け出たが、提出したデータに不備などがあったため、淡路市が資料の修正などを指導。届け出はいったん取り下げられている。(小森準平) (2010/01/23 10:40)
風力発電の低周波によるとみられる健康被害対策に取り組む海南市の大窪区・加茂二地区人権尊重推進委員会(宮本芳比古会長)は31日、 大窪集会場で勉強会 「人権と風力発電を考える講演会」 を開いた。 元日赤内科部長の汐見文隆さんを講師に、 地区住民ら55人が低周波の人体に与える影響について学んだ。
同市、 有田川町、 有田市の3市町にまたがる地区では、 風力発電の設備10基が昨年10月に設置され営業開始しているが、 ことし2月ごろから 「体がしんどくなる」 などの健康被害を訴える住民が出ている。 ある住民は耳元で 「ツーン、 ツーン」 という深い音が鳴り眠れないので、 自宅を離れ親族の家などを転々としているという。
このため同区は風力発電の設置会社に対し、 直近風車の停止や、 低周波対策として被害者住居のリフォームを要望。 県にも低周波被害調査と被害者救済対策を求めてきた。
勉強会で汐見さんは低周波の人体への影響やメカニズム、 症状などについて説明。 さらに県が民家内で測定した低周波数値について、 発電機を全機稼働した場合と全機停止した場合では明らかな差があるとし、 「この差が人工的な音源によることは明らか。 今後も被害を訴える人が出てくることも考えられる」 と指摘した。 数値は環境省が定める基準値を下回っていたが、 「現に健康被害が出ている」 として住民側は 「せめて1カ月は停止して本当に影響があるのかなど因果関係を調査してほしい」。 県環境管理課は 「測定は1回では分からない。 住民の協力を得ながら継続して測定し、 調査していきたい」 と話している。
海南市から有田川町の長峰山脈に10基ある風力発電施設について、低周波による健康被害を訴えている住民がいるとして、県は15日、騒音調査を行うことを明らかにした。9月定例議会で関係部局が一般質問に答えた。
健康被害を訴えているのは海南市下津町の60代女性で、昨年10月の風車稼働から約3カ月後、音が気になり眠れなくなり、その後耳鳴りや食欲減退を訴えた。「耳栓をしても音が消えない」など、耳ではなく骨を伝わる低周波被害の特徴があるという。現在、女性は別の場所に転居している。
県はこれまでに4、7月の2回、20ヘルツ以下の超低周波を測定できる機器で調査したものの、国の参照値を上回る騒音は出ていなかった。環境管理課では「最も風の強い11月ごろに第3回目の測定を行う」と答弁。また、さらに被害を訴える人が出た場合について、福祉保健部が「保健所の健康相談などで対応していく」と述べた。
人間には聞こえにくい低周波音による頭痛や不眠などの健康被害について、1970年代から調べてきた和歌山市西高松の医師、汐見文隆さんの講演会が17日、同市西汀丁の市勤労者総合センターであった。被害の実態の把握や対策は進んでおらず、汐見医師は「症状を感じる人がいるという『結果』から原因を考えるべき」と訴えた。
低周波音は周波数100ヘルツ以下で機械音などの中に該当する周波がある。汐見さんは74年、同市の繊維工場の隣に住む夫婦を知り、問題に取り組み始めた。この日は、これまで出合った例について紹介。同居の家族や同じ地区の住人の間でも、症状が生じる人と生じない人がいると指摘し、「本来は右脳で受け入れる低周波音を、言語を担う左脳で受け入れるようになると、被害が起きる」と推定した。
また、風力発電機の近くに住んでいた県内の60代の女性が「耳鳴りや不眠が数カ月続いた後、倒れたので、やむを得ず引っ越した」と体験を話し、汐見さんは「神経質なおかしい人と決めつけて放置すべきでない」と述べた。【久木田照子】
@平成22年2月22日 中央環境審議会答申「今後の環境影響評価制度の在り方について」→「風力発電施設の設置を法の対象事業として追加することを検討すべき」
A平成22年10月4日 風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会(第1回)→(3)議題(仮)[1]風力発電施設に係る環境影響評価等の現状について
B平成22年11月1日 風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会(第2回)(11/12)→(3)議題(仮)[1] 景観に係る環境影響評価の実施状況等について[2] 景観に関するヒアリング
ただこうしたモノが仮にそれなりに出来たとしても、「関係法令で直接定められた項目以外…」ではなかなかに具体的な実行力を持つのはむずかしい。正直、つぎ(風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書 平成23年6月)の、次の、次くらいを待つことになるのであろうか。
姉歯秀次・元一級建築士(53)による耐震強度偽装事件で、愛知県半田市のビジネスホテル「センターワンホテル半田」の運営会社がホテル建て替えを余儀なくされたとして、建築確認をした県などに計2億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で名古屋高裁は29日、「当時の法令では建築確認に落ち度はなかった」として違法性を否定。県の過失を認めた一審判決を変更し、県への請求を棄却した。
一方、姉歯元建築士に設計を委託した業者を選んだコンサルタント会社、総合経営研究所(総研)の賠償責任は一審に続いて認定。県と総研側に計5700万円の支払いを命じた一審判決を変更し、総研にのみ改修費や休業補償として1億6100万円の支払いを命じた。
判決理由で岡光民雄裁判長は、建築確認を担当する県の建築主事の役割を「関係法令で直接定められた項目以外、審査する義務はない」と指摘。見逃された偽装の一部は「図面を詳細に検討すれば判断できた」と認めつつ、時間的制約や法令が定める審査基準を理由に建築主事の注意義務違反はないと判断した。
一審の名古屋地裁判決は建築確認を「危険な建築物を出さない最後の砦(とりで)」と定義した上で、「法令が明示した基準だけでなく、安全確保のために一般的な基準も考慮すべきだ」と判示。偽装を見逃した建築主事の落ち度を認め、県と総研側が控訴していた。
この事件に注目するのは、建前として国が「我々に任せておけ。我々が法律と直接の検査で見張っているのだから、問題など有り得ない」と言う体制の中、その裏をかく、という言うより”正面切って”騙すと言うより、検査機関はろくに検査もせずメクラ判を押すだけだから大丈夫としてそれがまかり通ってしまった事件であるからだ。
即ち、司法は、検査機関は「法令が定める審査基準を理由に建築主事の注意義務違反はないと判断」したことだ。即ち、騙した業者は悪いが、それをOKにした=”×××判を押す”という、行政は行政のやるべき事をやっていたので騙されても仕方なかった」と言うことで、「責任はない」と言うことであろう。
裁判も段々上に行くと責任者が減っていく。県はこれでお役ゴメンになったのだから、今度は総研がどうするかだろうが、それにしても事業者、県を信じたと言うより疑うことも無く、青天の霹靂で「騙された」半田のホテルが一番非道い目に遭っている事になる。
この図式を風車問題に当てはめると、事業者は、「チャンとNEDOの言うとおりにやっています。鳥はよく解りませんが多分大丈夫です。音はNEDO的にはもちろん、環境省的にも問題有りません。挙げ句に自治体は税金が儲かります。観光資源にもなります。後の影響や文句は面倒見ます」と言って、出来た風車に対し住民から文句が出まくっていると言う構図だ。事業者的にはそうした事例は業界としても「NEDOマニュアルによる場合、事業者の解釈違いなどに起因すると思われる事項により、一部の風力発電所に関して地域住民の方からクレームを受けております。」などと言っちゃってあくまで個別の問題としている。業界はお互いに他人事の様に、”一部悪徳業者”が悪いと言う様な言い方をしているが、一体全体、住民との問題を抱えている風力発電施設を抱えていない事業体は有るのであろうか。
こうした場合、これまでの例を見ると、「後の面倒、文句は面倒見ます」と建設前に言っていた事業体の足は重い。従って一住民としての被害者は当然ながら、建設停止の権限が有ろうが無かろうが、とにかう建設にOKを出した形の自治体にクレームが来るのは当然である。もちろん当事者一味の三セクなら当然だが。その場合は自己弁護もかねて冷たいあしらいを受けることになる。いずれにしても、個々の自治体には問題の処理能力に大きな差があるのは言うまでもない。
そして、本質的に、大元の国としては野放しではない、環境省はもちろん、関係機関or部署にそれなりの手配はしている。その手配とは、具体的な内容は置いておいて、その実質的権限と言おうか、効力がどんなモノかと言えば、詰まるところは、まさに、「耐震強度偽装事件」における
”一審の名古屋地裁判決は建築確認を「危険な建築物を出さない最後の砦(とりで)」と定義した上で、「法令が明示した基準だけでなく、安全確保のために一般的な基準も考慮すべきだ」と判示。偽装を見逃した建築主事の落ち度を認め、”と言う至極真っ当な判決であった。しかし、控訴審では
”建築確認を担当する県の建築主事の役割を「関係法令で直接定められた項目以外、審査する義務はない」と指摘。見逃された偽装の一部は「図面を詳細に検討すれば判断できた」と認めつつ、時間的制約や法令が定める審査基準を理由に建築主事の注意義務違反はないと判断した。”
と言ったモノで、あくまで、
”「当時の法令では建築確認に落ち度はなかった」として違法性を否定。県の過失を認めた一審判決を変更し、県への請求を棄却した。”
即ち、この「法の精神」を風車問題に当てはめてみれば、言うまでもなく、法律的には規制、禁止していない、即ち、法律が想定していないようなことについては風車建設にOKを出す機関、交付金を出す機関はどこまでの権限や義務が有るのか解らないが、”少なくとも書式が整っていれば、仮にそこに虚偽の記載があってもそれを確認・審査する義務はなく、Okとして、補助金を出すのがお仕事であり、「時間的制約や法令が定める審査基準を理由に(建築主事の)注意義務違反はない」と言うことで、関係部署としては、現在風力発電事業者が行っているような、風車からの距離、環境評価などの虚偽の記載に関しては、「審査する義務はない」と言うことなのであろう。
しかし、一応は、「虚偽の記載はダメ」と言っているのだから、少なくとも全くの第三者からの指摘でも虚偽と判明した時点でそれなりの処置が有って然るべきはずなのだが、そうした話は寡聞にして聞かない。即ち、これらの風車建設をGO!させるための機関には「安全確保のために一般的な基準」を考慮する義務は全くないと言うことが法的に担保されているのである。従って、もちろんその結果については何ら責任を負う必要はない。即ち、こうした機関に対し風力発電被害者が文句を言おうが、果ては訴訟を起こしても、事業者は勿論だが、勿論それに交付金を出している機関にも全く責任が無いと言うことになるのであろう。
こうした点から考えると、仮に今後、環境省が風車に問題が有るとか低周波音の影響が有るなどと認めることは、当然ながらその後における法的規制を伴うわけで、おかしな話、放置した自らの首を絞める事になり、責任が生じることになる。こうした点から考えて環境省が容易に影響を認めるはずはないのである。
愛知県半田市内のビジネスホテル「センターワンホテル半田」の耐震偽装を巡り、ホテル側が県とホテル開業を指導したコンサルタント会社「総合経営研究所」(総研)などに損害賠償を求めた訴訟でホテル側は4日、県の過失を認めなかった名古屋高裁判決を不服として、最高裁に上告する方針を固めた。高裁は県の過失を認めた1審名古屋地裁判決を変更、県への賠償請求を退け、総研に約1億6000万円の賠償を命じた。総研側も判決を不服として上告する方針を示している。
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