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随想
           
バブルは必ず崩壊する(平成20年9月1日脱稿)

   丁度10年前の1998年9月1日にトヨタ自動車を定年退職した。退職金で住宅ローンを繰り上げ清算した。手元には若干の株式と現金が残った。

   次女は1998年の晩秋に挙式予定、末子の長男は同年4月にトヨタ自動車に就職。保護者義務も完了し、気分も清々した。推定余命20年間は細々ではあっても年金(厚生年金+企業年金+財形年金+個人年金)で今までレベルの生活は出来る見通しも立った。無理して働くニーズはなかったし、働く意欲も何故か起きなかった。

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はじめに

   人生は短い!! 余生の主力テーマとしては現役時代のゴルフとテニスは体力の続く限り継続(合計しても年間高々100回程度だが・・・)しつつ、現役時代には何かと時間的な制約が多かった海外旅行を楽しむことにした。とは希望しつつも、旅費の当ては些か乏しかった。

   定年から遡ること40年前の学生時代から所謂財テクへの関心だけは持ち続けていた。大学正門前の本屋には毎週立ち寄り、週刊ダイヤモンドや週刊東洋経済の立ち読みは欠かさなかった。いつかは財テクに手を出したいと思いつつ・・・。

   今こそ積年の夢、財テクに突進だ!

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財テクの対象

   現役時代は借金をして土地を買い(31歳)家を建て(35歳)3人の子供の教育費を支払うと収入はほぼ消え去った。

   当然の結果として財テクに回す余裕資金は乏しかったが、財テクの対象として後日の役に立つと確信して、電話一本で即座に取引が出来る株式の現物購入と株式の信用取引を選んだ。初体験は昭和52年(39歳)、株価が自己資本近くにまで暴落していた住友セメントを下値不安が小さいと判断しつつも、1,000株だけ恐る恐る買った。

   実践体験抜きでは実力は付かないと確信し、爾来年間たったの数回だったが株式の売買を積み重ねてはいた。


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歴史は繰り返す

   会社四季報を購入して1,000社を超える株価グラフをひねもす眺めていたら、二つの特徴に気がついた。

@ 業績が上がると長期的には株価は上がるし、業績が下がると株価は下がる。
A 売買の出来高が急増すると株価は暴騰し、出来高が減少すると株価は暴落する。

   株式の売買で儲けるためには、安くなった株を現物か信用で買い高くなったら売るか、高くなった株を信用で売り安くなったら買い戻す以外の方法がないことは自明である。しかし、@もAも結果論である。全ての会社の株価は、遠い未来どころか一日後すら確実に予測することは誰にも出来ないからである。

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買いと売りの違い

   無数の会社の中から今後業績のあがりそうな会社を選ぶには情報入手のルートもない私には出来ないも同然だ。思い切って購入しても予想が外れると長期間塩漬けすることになる。

   銘柄選びに困った結果、日本全体と運命を共にしているTOPIX連動型投資信託と元勤務先のトヨタ自動車及び入社以来取引関係が続いている現三井住友銀行(元三井銀行)の現物を少しずつ買い増していくことに落ち着いた。それらは今、物の見事に塩漬け状態になっている。

   一方、理由が不明なまま暴騰した株こそは信用売りの絶好の対象に思えてならなかった。仕手筋が徒党を組みながら下値を買い集めると徐々に株価が上昇し始める。それに気付いた一般投資家が一斉に買い始めると数倍から10倍以上にも株価は暴騰する。暴騰後もまだ上昇すると確信した投資家も、最期は売らねば儲からないことは明白。

   これ以上の暴騰はないとの判断を誰もが持ち始めると最期の買い手がいなくなり、それまで買い手だった投資家は一斉に売り手に回り、株価は暴落するのが常。これらを信用取引に当てはめると、暴騰前は買い方が勝ち、暴騰後は売り方が勝って一連の仕手株バブル騒動は終結することになる。

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信用売り銘柄の発見法

   結局、我が課題はどのようにして信用売り銘柄を効率的に発見するかに掛かっていることに帰結した。

   あるとき、野村證券豊田支店に口座を開設し半年に一回株式などの売買をすれば『QUICK』を無料で使えることに気付いた。かつて1兆円投資信託として話題を呼んだ『日本戦略ファンド』を半年に一回、最少取引単位の1万口(8月末6,488円/万口)を買い続けた。

   パソコンでQUICKを開き、出来高ランキングと東証一部値上がり率ランキングとは毎日、投資家に注意を喚起する目的で発表されている規制・日々公表銘柄信用取引現在高(東証)は時々眺めるだけだった。

   出来高ランキングを毎日眺めていると、時々見慣れぬ銘柄が上位に進出することに気付いた。その銘柄の過去の出来高の100倍になることも珍しくない。これこそ待望の信用売り銘柄候補だ。序に東証一部値上がり率ランキングや規制・日々公表銘柄信用取引現在高(東証)表を眺めると、そこにも同時に掲載されている場合が多い。

   それらの候補銘柄をQUICKの株式銘柄登録表(5ページ*10銘柄)に登録し、毎日眺めながら売り時を考えるだけで十分だった。信用売りで勝つためには株価の上昇過程では売らずに、天井を付け下落に転じたと判断できるまで我慢することに尽きた。

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我が挑戦例

[1]信用売り銘柄の内、既に清算を終えたもの。@〜F


   過去10年以内に信用売りした7銘柄に共通している特徴は、突然出来高が急増すると共に株価も暴騰し、天井を付けた後暴落しているだけではない。程なく
13月移動平均線25月移動平均線を突き抜けて更に株価が下がっている点にある。

   信用取引は約定日から起算して6ヶ月以内に反対売買をしなければならないが、期限が来ても更に清算を延長したい場合には『繋ぎ』と称して、反対売買と同価格で買い戻しと新規売りをすることが出来る。私は同じ銘柄で2〜3回繋ぎを繰り返したこともある。最後まで粘れば売値よりも株価が下がると確信していたからだ。

   結局、これら7銘柄には思惑通り全勝した。


                                        月足グラフ@ 大和紡績3107



                                             月足グラフA 沖電線5815



                                           月足グラフB ルック8029



                                              月足グラフC 日特建設1929                                      

                                       月足グラフD 東日カーライフ8291



                                        月足グラフE 佐世保重工業7007



                                          月足グラフF 丸山製作所6316

[2] 信用売り銘柄の内、未清算のもの。G〜I

   G〜I銘柄は現在信用売りで挑戦中だ。これらの3銘柄は何れも相場が若い。13月移動平均線が25月移動平均線を下回るまでには時間が掛かりそうだが、Hの第一中央汽船の13月移動平均線は既に下降を開始している。

   更にGとHの2銘柄の8月の月足グラフは黒線(陰線と言う)となり下降を暗示している。一年間は放置し、『果報は寝て待て』の心境だ。



                                    月足グラフG ウェザーニューズ4825



                                        月足グラフH 第一中央汽船9132 

                                   

                                            月足グラフI GSユアサ6674

[3] 現物を買い、塩漬け状態のもの。J〜L

   J〜Lの3銘柄は塩漬け状態の現物銘柄だ。これらは出来高の日変化は小さいので我が信用売り候補にはならない。日本経済と運命を共にしているので景気が回復するまで含み損を抱え込んでいるが、信用取引の担保の役には立っている。



                                月足グラフJ TOPIX連動型上場投資信託 1306



                                          月足グラフK トヨタ自動車 7203


                              月足グラフL 三井住友フィナンシャルグループ 8316



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おわりに


   株式の売買による我が財テクは期せずして『ヘッジファンド』と実質同じになっていた。現物では買いを信用では売りを実施し、その約定残高がほぼ均衡しているからだ。

   その結果、金融資産残高の変動率は株式市場の変動率よりも小さくなっていた。世界的な景気後退を先取りするかのように株式市場も下落傾向が続き、現物資産残高が減少したが、信用売りの含み益が反対に増加しているからだ。

   しかし、両者の波長には大きな違いがある。我が現物資産の変動の波長は長く、信用取引の株価変動の波長は遥かに短い。結果として少しずつ資産は増加し、当初の目的であった海外旅行の費用は十分捻出することが出来た。

   それどころか、がんと闘った過去6年弱の自己負担金数百万円や持ち家のリフォーム代金の数百万円も難無く支払えるおまけも付いた。

   我が祖国の公設賭博市場の末永い繁栄と賢人各位のご健闘を祈念しつつ・・・。

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読後感

よくぞ、貴殿の貴重なノウハウを公開されました。石松さんの勇気に乾杯! 

私は財テクには興味はありません。唯一、関心事は「貴殿が信用取引に失敗して何時首を吊るか」にありました。しかし、バブルは必ず崩壊する(平成2091日脱稿)を読み、私の関心事は徒労に終わることを悟りました。


わが家の家訓として、「信用取引はご法度」があり、私は忠実に守っていました。祖父が退職金を信用取引で失って以来、わが家系は貧乏から抜け出ることがありませんでした。母方の実家が東京中野の土地持ちで父が亡くなった時、遺産相続トラブルに巻き込まれるのを嫌い、相続権を放棄した母を今でも尊敬しています。

 
私はトヨタ在職中から、こんなに沢山給料を貰ってもいいのかなあ(働きも悪いのに・・・・)と思っていました。係長時代の一時期、後学のためと思い、投資顧問会社に会費を払いボーナスの一部を投資にまわした事がありましたが、数年でやめました。自分に合わないことが判ったからです。

 
今日(9/1)、社長から神戸に来いと指示があったので、行ったら「浅井さんには今後も頑張ってもらいたいので、20Fee Upします」と契約書にサインした。しかし、仕事を辞めるとき、スキー・ゴルフ・能楽をやめるときは基準ラインを決めています。

ですから、一年でも長く続ける事が出来るよう色々と手を打ち、残り少ない時間を過ごせればいいなあと思っています。

 

@ トヨタ先輩・工・ゴルフ仲間・パソコン技術はセミプロ級・スキーは海外も・能楽の発表会は伊勢神宮の舞台・多芸多趣味!

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含蓄のあるHP、大変興味深く読ませていただきました。私もまったく同じ考えです。過去の銘柄にも懐かしいものがあり、楽しませていただきました。

大変ラッキーにも、不動産関係にかかわりあっており、GSが600円を越える当日まで、その上昇に気づかずにおりました。知人が長期の塩漬け株としてGSを保有しており、おかげでその日から売り方となり、大分稼がせてもらいました。夢の中で、450円がらみからの買い転換がひらめいたのですが、成功体験が邪魔をして「売りグセ」が抜けませんでした。

500円手前から売り始め、含み損は2千万円を超えましたが、不思議と落ち着いた気持ちでした。昨日から今年の前半に売りで苦しめられた住友金属鉱山の高値付近の雰囲気が出ていましたので、少しばかりは期待していました。このまま行くとうれしいですね!

今年前半は不動産関係で楽しい目を見ましたが、アトリウムも最後の一番おいしいところを取りそびれました。今回はしぶとく頑張りたいですね。お互いの幸運を念じております。

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その2。

本日(9/5)も下げ模様ですが、NY・日本とも、まだまだこんなものではおさまり様がないですよね。現在お取り込み中の3銘柄も今日にはかなりの目途がつくのではないでしょうか?

私はまだ40代ですので、先輩のように各方面への飽くなき探究心を持ち続けていらっしゃる方を心底うらやましく感じます。自分も負けずに人生を堪能したいと思います。

ついつい値惚れで買ってしまいそうな自分を戒める毎日です。

A 全く存じ上げない方・GSユアサの掲示板から


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貴殿からゴルフの合間に、株で儲けている話とその方法の一部を聞いていましたが、今回具体的にご説明頂きよく理解できました。確かに我々が入手できる情報から判断するなら売りしかないことがよく理解できました。

小生のように気の小さい者には、皆が買うときに乗り遅れないようにつられて買うしかやっていませんでした。

今後は教えていただいたやり方で新聞等を見て、売りは何か恐ろしい気がしますが、少しずつやってみたいと思います。今後ともご教授の程お願い致します。

B トヨタ同期・経・ゴルフ仲間・180cm超の同期入社では1,2の巨漢・学生時代は野球の投手。

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はじめまして。石松様 久保と申します。Yahooの掲示板より貴殿のHPに辿り着き、一読させていただきました。

私は現在32歳。自由業の傍ら株式にて資産運用しております。以前より掲示板でお見かけしていたのですが、本日HPに訪問させていただきました。

「バブルは必ず崩壊する」。大変共感できました。私もGSユアサの天井を確認後7月8日に478円で3万株空売りしておりました。ようやく含み益がでて一安心したところです。

石松様のおっしゃるように昨年は資本が足りず、下がると確信していたグッドウィルにて踏み上げにあい、2千万の損失を受けました。今年は余力も十分に残し戦うようにしており、本日までトータルプラスで来れております。高い授業料でしたがおかげで身につきました。

これからも日本市場は厳しい局面が予想されますが、貴殿のご活躍をお祈りしております。
                      
C 全く存じ上げない方。若干32歳で大金を操れる超リッチマン・ご成功を祈念しつつ・・・

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