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随想
           
がん死願望説(平成13年12月12日脱稿)

   人それぞれ、世の中にはさまざまな人生観があることに今更ながら驚いている。国家の管理下にある義務教育では、先端技術を駆使しながら出荷品質が限りなく均一な製品を作り出している工場と同じように、同じ価値観を持つ国民の量産を目指しているかと思っていたが、幸いにして私の勘違いだったようだ。

   がん死願望説を聞いた時には『なるほど、一理ある』と驚愕しながらも納得させられていたが、僅かその一年後の平成14年11月28日に、あろうことかあるまいことか私は胃がんの宣告を受けて仕舞った。その瞬間の我が心境は『治療費がどんなにかかろうとも、何とかして生き延びたい』だった。

   闘病生活が3年半過ぎた今(平成18年8月4日)静かにがん死願望説を再評価すると、がんに罹るはずがないと確信している健常者の理想に過ぎないと思うに至った。愛知県がんセンターで出あった殆どの人の場合は、がんの宣告を受けると、『理想的な死に方が出来る』と言って歓喜雀躍するどころか、腰も抜けるほどに落胆している様子に、励ましの声をかけることすら憚(はばか)られたからだ。

    
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ああ、驚いた

去る12/3&4に、ゴルフ仲間の年寄り(間島様・松下様・天野様)と近畿日本ツーリストのパックツアーで、熊野古道に出掛け、ホテル浦島で夜の12時までお喋りを楽しんでいたときの、話題です。お二人が全く同じことを言われました。

『もしも、病気で死ぬことになる場合、選べるならば癌』 驚いた私が
『どうしてですか』
『突然死は本人にとっても、遺族にとっても、心の準備が出来ていないから、ショックが余りにも大きいが、癌の場合は死ぬまでに時間が掛かるからだ』

『痛いそうですが』
『今はモルヒネを使うなどして、痛みからは解放されている。心配ない』
『では、避けたい病気等は?』
『寝たきり。その次はボケ。寝たきりは本人も家族も大変。ボケは本人は兎も角も、家族は大変』

お2人は、くしくも70歳。人間は古希ともなれば、死に方も考えるようになるのでしょうか?。私も、もうすぐというのに、日頃考えたこともない世界でした。

賢人各位のお考えは?。
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読後感

       以下に、賢人各位からの返信を受信順にコピーしました。読みやすくするために、適宜段落を入れましたが、文章は総て原文のままです。なお、賢人各位と私との関係を一言、文末に付け加えました。松下様はメール契約未完のため、無登場。


小生が寝ていた時のやりとりですね。
癌は治せる可能性のある病気。避けたい病気は同じで、あとは天にまかせます。

・ ・・ゴルフ友達・トヨタ先輩・・・


貴メール拝受、有難う御座います。
小生は、まだ考えたことがありませんでしたが、父親のポックリの経験から考えても、癌で痛くなければ、お二人のご意見は理解できますし、今のところ賛成ですね。           
  
・・・ゴルフ友達・トヨタ同期・・・


磐田の山本寛と申します。
いつも楽しく拝読させて頂いています。

小生も死ぬなら癌がいいと思います。
父親は6年前すい臓癌で死にましたが、最後の日まで自分で用を足して死んでいきました。

医者は盛んに手術を奨めましたが、80歳という高齢でもあり手術しませんでした。幸い痛みは少なく、モルヒネを用いることなく約5年、死ぬ直前までキノコ取り等を楽しむことができました。勿論やせて骨と皮になってしまいましたがーーー。

問題は我々が、癌にかかるまで何をやるのか。小生は、常温核融合を実現して木曽川に巨鮎を蘇らせてそれを釣って死にたいと思っています。

・ ・・テニス友達の友人、お会いしたことはありません。初めて受信したメール・・・


お寒くなりました。ボーナスのない身にはこの寒さが尚更こたえます。

死に方についてのアンケート(?)について、私の答えは・・・・・。

何でもありなら、交通事故や歩行中に落下物による等の事故死です。理由は簡単。そういうときにガッポリ転がり込む保険に入っているからです。最後ぐらい、家内や子供・孫を喜ばす”ささやかな奉仕”をしてやりたいものと。

病気に限定となれば確かに迷います。どんな病気が死につながるかが今一ピンと来ないので。もう腹上死という元気も無いことだし。

ヤッパリ、ガン保険に入ってることが頭をカスメますね。但し、贅沢が許されるならば余り苦しまないこと、との条件付で。それと、入院・通院が余り長くなく、勝負の早いのが有難いですね。

アンケート結果がまとまったら、他賢人の「希望」も教えて下さい。

寒くなりました、お風邪などひきませんように。風邪も肺炎などに”発展”して命とりになりかねないとか、ゆめゆめ馬鹿にしないで。

                           2001.12.12

・ ・・大学同期・・・


熊野古道旅行時の夜の談義をお聞かせくだされ有難うございました。私、人間ドックで胃や胆嚢にポリープが発見されると、必ず悪性ではないかと癌の検査をされます。今は 前立腺肥大症で前立腺特異抗原値が高く癌を疑われ定期検診を受けております。

私の母も兄も癌で死んでいるので癌の血統と思われているのでは?。私自身も死ぬときは癌だと観念し、癌保険を許容限度いっぱいかけています。松下さん、間島さんのお話を聞いて、私は羨ましがられている身かなと気が楽になりました。

尚、私は死因よりもタイミングで、妻よりも先に死にたいと思っています。

                                2001-12-12 


・ ・・ゴルフ友達、トヨタ先輩・・・


やや説明不足の感がありますので補足します。

我々の理性的部分は 「死は 必ず訪れるものであり、さけられない」と 死をうけ容れていますが 我々の感情的部分は 「永遠に生きつづけたい」と欲求し、死をあくまでも受け容れません。理性的部分と感情的部分が渾然一体となっているのが我々人間であります。

如何なる死がのぞましいかはそれぞれの個人の死生観、価値観によってきまってくるものと思います。また個人個人が実際にどのような死を迎えるのかは、神の定めるところであり、必ずしも希望がかなえられるものではありません。

ただ個人個人の自由意志にもとづく日常生活の送り方によって、自らの希望した死に方に 極く僅かですが近づくことは可能かとおもいます。

人間は矛盾した存在で、あれもほしい、これもかなえてもらいたい、と望みますから、これがベストの死だというものはないと思います。ベターな死に方はこれではないかと、それぞれの個人が考えるだけだと思います。

私は、自らの精神活動、身体活動がその能力を最も良く発揮した状態が維持され、できるだけ長く生き続けたあとに、自らの寿命を予知し死を迎える心の準備をして静かに死んでいくのが、望ましい死だと思います。

死には幾つかのパターンがあります。

1: 突然来るもの

   天災や人災による事故死
   心筋梗塞、とか血管の障害による死
   
精神活動も身体活動もまだまだ充分に維持できる能力をもちながら、突然にうちきられてしまうもの。当然、死を受け容れるための心の準備もできていません。私は残念な死に方と考えます。

2: 急病により数日の治療生活の後に死亡するもの

   数日前までは高い精神活動、身体活動を続けていて、病気にかかり入院し、治療の甲斐なく死亡するもので死の予知も可能で、不充分ながら心の準備もできて、死を迎えるもので、これが理想的な死かも知れません。

3: 長い治療生活の後に死を迎えるもの

  あ : ボケやアルツハイマー など身体活動は活発な水準にあるが精神活動が異常になり、死を迎えるもの

      テニス、ゴルフ で足腰を鍛えている人は、徘徊老人になったり女性にだきついたりする老人になることもあり、私は悲惨極まるものとおもいます。(石松注。私の末路の予言?)

  い : がん

      がんにかかっても普通は精神活動の水準は健康時と同様に維持され、判断力も正常です。ただし身体活動は徐徐に低下し、特に以前は死の直前の苦痛は大変だといわれていました。

      しかし、現在では医療の進歩でモルヒネなどの使用により、大部分の苦痛は除去できるようになったといわれています。

     以上のようなことから、私はがん死が一番ましいのではないかとかんがえました。

                                
・ ・・ゴルフ友達、トヨタ先輩・・・


賢人のご意見に大賛成です。ありがとうございました。

・ ・・トヨタ同期・・・


今からの人生を楽しく生きようとしている者にとって、いかに死なないかを考えても、死に方を考えたことはありません。私は今かかえている糖尿病を悪化させないというのが、あらゆる行動の基本にあります。

ところで、間島様とは、間島速雄(正確な字を忘れました)氏ですか。Yes.なら、昔(S.49年)電算部当時の上司です。確か、S29入社ですから、私より11才上で70歳です。その時以来お会いした記憶(これ自身不確か)がありません。

一県人より(石松注。Yesです)

・ ・・大学&トヨタ後輩・・・


貴重なメールを見せていただき有難うございました。

そう言えば以前間島様は死に方の研究をされていると聞きましたが、さすが真面目に考えておられることが伺え感心いたしました。小生は漠然としか考えたことがなく、悲惨な死は嫌だが、あとは成り行きまかせとしか思っていませんでした。

私にはもう一つ死のパターンには自ら命を絶つのもあります。これが唯一自ら選べるもので、他は天にまかせるもので、ある程度人生をまっとうすれば、何れもまあ幸せだと思います。今は未だバブルの夢が忘れられず、死のことはこの程度しか考えたことがありません。

石松さんは我々の仲間全員の死を見届けた後「我勝てり」と喝采し、静かに老衰で天国へ行かれると想像しており、その顔まで浮んできます。悲惨な死は迎えません。

以上感想まで。

・ ・・ゴルフ友達、トヨタ先輩・・・


お久し振りです。

テニスコートでもなかなかお顔を見ることなく(石松注。最近2回続けて旅行と重なり、テニスを欠勤)、どうされたのかと思っていました。時々丹羽大人とは、土曜日の午後にお会いできることがあるのですが、片岡大人その他の方々ともすれ違いばかりです。

当方12月1日から、例の民生・児童委員なる非常勤国家公務員の委嘱を受け、研修会やら万引き防止見張りやらに駆り出されております。それでも日曜日は、グライダ操縦訓練に出掛けることが多くなりました。そんな訳で、石松大人と同じく「死ぬとき」のことはとても今から考えようとは思い至りません。

できればそれは、75才を過ぎてからすれば良いんだと、漠然と思っていると言ったところです。それまでは何でもいいから好きな事を思いっきり楽しむことで、身も心も健全になるのではないでしょうか? そうすれば「呆け」になることも少ないのではないかと、勝手に決めています。

ところで、次回からは石松大人の意見の片鱗だけでも開示して頂けると面白さが増えると感じました。よろしくお願いいたします。

                            12月13日 朝

・ ・・テニス友達・トヨタ後輩・・・


あい変わらずお元気の様子で何よりです。

人の死に方には色々あると思いますが あまり真剣に考えない方が良いのかも知れません。

先日(10月中旬)に福岡県遠賀町に帰り、95才の叔母さんと久しく懇談したとき思ったことがあります。人間、95才でも耳と頭がしっかりしていれば若者と全く変わらない対応ができて大変楽しい時間がもてると云う実感がありした。

それ故、まずは頭、耳、目、口、をいつまでも若く保ち 100才を過ぎた頃からローソクの火が消えるが如く自然消滅して、この世にさよならしていくのが一番理想ではないかと思いました。
                         
・ ・・中学同期・・・


メール有難う。長らく御無沙汰しました。
先輩たちとゴルフを楽しんでおられる様で結構な事です。
 
所で死ぬなら癌が良いと先輩諸氏の一致した御意見の由、それもそうだなと思いました。

小生の母親は90歳で亡くなりました。頭ははっきりしているものの、体力、視力が大分衰えていたので知合いの病院に入っていました。それが突然肺癌になって、間もなく死亡しました。 肺癌だと聞いたとき小生は母親に「あの世行きの特急券を貰って良かったね」と言った覚えがあります。

ワイフの兄嫁は子宮癌で何度も手術をして、未だ生きています。本人は生きようと言う強い意思を持っていたので、入院・手術の苦痛を乗り越えて、延命の為今も抗がん剤の投与を受け続けています。

何時死んでも誰も困らない年齢になれば、喜んで癌を受け入れることが出来るようになれるでしょう。

人夫々の考え方、環境次第でして、長老たちの御意見は特に吃驚することも無いと思います。

以上、小生の見解です。では、又。

                                12月13日   

・ ・・大学&トヨタ先輩・・・


  もし私が癌になったら、、、、
  癌に犯されたとしたら、私は絶対に告知して欲しいと思います。

  @今の私は片づけなければならない事が山のようにある。
  A人間は死というゴールに向かって人生を歩んでいるとも思います。
  B癌は死に至るまでに間があります。その残された時間に生きてきた、いや、生かされてきた自分の人生に感謝し、家族、友人、知人に深謝して惜別したい。人間としての尊厳を失わず、血筋を継承する我が子に親としての生き様を、なにかを伝えん。
  C誕生時も死ぬ時も人間はどうして苦しいのでしょうか。石松様教えてください。何人かの臨終に立ち会いましたが、ニッコリ笑って死んだ人は誰もいませんでした。 私は苦しまないで死ねるなら自殺もいといません。(ただし今の心境です)

・ ・・今年夏からのメル友、会社オーナー社長・・・


小生も先輩方の意見に賛成ですね。 実は今将にそんな状況に置かれています。
親友の一人が先月末、突然末期肺ガンを宣告され、心臓に持病がある事から治療が一切出来ずホスピス療養に入りました。

診断を受ける2週間前には賑やかに一緒にゴルフをしたばかりなのに、本人も信じられず上京して国立癌センターの診断を受けたが、全く同じ診断だったので観念して、事後の遺言を初めその他の処理を一つずつやっています。 半年の余命と言われている為、内心の葛藤はあったに違いないと思うが、実に冷静に事を進めている姿に接し感心しているところです。

現在週一位で顔を見に行っていますが、この先痛みが出てきたらどうなるのだろうと不安です。

・ ・・大学同期・・・


ご丁寧なメール(石松注。喪中の葉書を受け取り、お悔やみを送信)、ありがとう!

医者が「100歳まで大丈夫」と言っていたので、5,6年は介護に専念するつもりでした。しかし、「膀胱に腫瘍ができている」と言われて、1週間、あっけないほどの最後でした。

「膀胱ガンは、すごく痛む」というので、「時間は、問題ではない。ただ苦しまない治療をしてほしい」というと、医者も「それがいいと思います」等々のやりとりをしました。

貴兄の先輩諸兄の言われること、一つ一つもっともと思います。特に寝たきりのケースは、本人にしても、家族にしても又国の財政にしても、期限のない苦しみはしんどいと思います。

私は、「人生、長さではない。中身だ。」と悟り? 好きなことをして、好きなものを食べて、ただ寝たきりにならないように、気力と足腰を鍛える日々を送っています。

貴兄のエネルギーに満ち満ちた存在、我が同級生のなかで貴重です。
今後とも、よろしく! 

(石松注。氏の母上様が今年2月、享年96歳で逝去された)

・ ・・大学同期・・・


ご無沙汰しています。

本日のメールに感動しました。「選べるならば癌」とは!!
私は当然のように、癌だけは避けたいと常々思っています。

しかし、これは癌は「苦しく、しかも不治の病」との恐怖であり、自分にも家族の為にも準備期間がとれる病気と考えるだけの余裕、いや優しさは無かったようです。こんな考え方もあるんですね。

先週、軽い狭心症の発作に襲われましたが、とりあえずは心筋梗塞に進行するのは何がなんでも防ぐ必要がありそうです。こんな状況なものですから、このメールはとても興味深く読ませていただきました。

では、おやすみなさい。

・ ・・高校同期・・・


幾人かの「死」についての私観を読ませてもらいましたが、私にとって、ズ〜っと先の為の参考に成るかなと受け止めます。 

定年まで2〜3年の小生にとって、現役の仕事とその後(定年後)の生活設計の準備(やりたい事の希望=夢がいっぱい)で目一杯でして、死ぬ事の設計までは今は決められません。今は、せいぜい、愛読書の『徒然草』の四十一段(五月五日)の心境です。

欲を言えば、やりたい事を精一杯やり、ある日ぽっくり逝く事が希望!。看病、高額医療費、痛み、苦しみを考慮すると“自殺”も理解できる。但し、そうならない為の健康管理に努めるべし。

・ ・・まだお会いしたこともないメル友・・・



賢人各位
返信おん礼

『死に至る病気の中から選べるのであれば、癌を希望する』とのご意見を聞いて、心底驚きました。私は常日頃、如何にして癌に掛からずに死を迎えるかに腐心していたからです。ところが、賢人各位からは、全く予期すらしていなかった『両賢人の意見に賛成』との返信が殺到し、二度びっくり。その後、多くの方々に口頭でご意見をお尋ねしたところ、高齢者に普遍的な考え方であったと知り、とことん驚きました。

私は、毎週のゴルフ(今年は結局45回)とテニス(43回、来年からは5割増計画)で体力を維持しつつ、公私合わせた海外訪問国数を歳の数(最終目標は百ケ国)まで増やしながら、人生を満喫するのを余生の目標に生きていました。昨年末までに41ケ国(再訪問国が増加し、なかなか新訪問国が増えないことに気づきました)になり、今年は9月にアケメネス朝ペルシア(イラン)、12月にチェコとハンガリーを加えて44ケ国にする予定でしたが、同時多発テロの影響でJTBからは催行中止と言われ、がっかりしていました。

来年は、今年の分も一気に取り返し、一刻も早く歳に追いつき、その後でゆっくりと『死に方の検討』を始めたいと思います。現役時代は掛け捨ての生命保険には加入していましたが、退職後は、火災保険・自動車保険・ホールインワン保険のみにしました。子供は全て社会人となり、保護者義務は完了。残る人生と資産は誰に遠慮することもなく、自分のためだけに使えばよいと考えているからでもあります。

最早、海外旅行でも旅行保険には一切入っていません。保険料の高さに辟易。但し、5千万円の死亡保険付きJCBのゴールドカード(年会費本人1万円、家族千円)は活用しています。空港の無料ラウンジでビールをがぶ、がぶ(名古屋空港では最近缶ビールから、生ビールに格上げされましたが、不届き者の缶ビール持ち出し対策?)。事故で死んでも、葬式代には十分。何時死んでも、悔いなき人生だったとの心境には至っています。

過去30年近く、癌は早期発見こそ、総ての治療法に優ると確信し、集団検診で少しでも警告が発せられたときには、愛知県がんセンターや名古屋大学付属病院に駆け込み、ダブルチェックをしていました。癌の診断は毎日癌患者に接している職人のような医師こそが、学者よりも一番的確な結論を出せると思っていたからでした。

例えば、昭和54年8月13日、40歳のとき、脚の股(もも)に、輪郭が明瞭で且つ熱を帯びていない硬いしこりを発見。しかも急成長している。悪性筋肉腫瘍と直感し、がんセンターに駆け込んで、医師に自己診断状況を説明しました。

『***。以上の理由で、私は癌だと思います。しかし、念のために精密検査をお願いします』。傍でやり取りを聞いていた看護婦が

『先生、この患者さん、ご自分で診断が出来ている見たいですよ』。医師は
『貴方の言うように、限りなく癌に近いが、私には結論を下す自信がない。同僚と相談するからちょっと、お待ちください』。入れ代わりに診察した医師も首を傾げるばかり。またもや
『暫くお待ちください』。一時間以上たって、3人の医師に取り囲まれ
『私達の経験では、たった一つですが、疑問点があります。レントゲン写真に陰が写っていません。そのために、質問があります。最近、何か変わったことなど、思い当たる節がありませんか?』

『5月1日から、1回千発、週2回ゴルフの練習を始めました。それを診断前に説明すると、予断を与えて誤診に至る可能性があるのを怖れ、黙っていました』
『私達の推定では、股の腱をいためている可能性があると言うものです。1週間の経過観察で結論が下せます。癌ならばしこりは更に成長し、腱に起因するならば、逆に小さくなります。』

数年前には名古屋大学に飛び込み、顔の一部を指差しながら
『先生、顔のここに皮膚癌が出来ました。念のため、診てください』。教授は即座に
『それは、癌ではない』

『証拠は何でしょうか。細胞検査は不要ですか』
『不要だ。経験だけで分かる』と、自信満々。
『では、これは何ですか』
『まだ貴方は若いけど、これは老人性疣(いぼ)だ。美顔手術は簡単だ』。いかにも不満そうな私の顔を見て、傍らのインターン中らしき医学生が
『先生、あの写真集を患者さんにお見せしましょうか』。分厚いアルバムを開き
『これで分かるように、皮膚癌は見るからに汚らしい外観をしているのだ』

結果的には数年に一回くらいの頻度になるが、自己診断(筋肉腫瘍・胃がん・大腸がん・皮膚がん)で疑問を感じる都度、病院に駆け込み、医師と癌論争。自己診断の総てが幸い誤診だったため、未だに生き延びています。

ご参考までに、各位のご返信をコピーしてご報告させていただきました。以上、取り急ぎ感謝の気持ちを込めて。


返信が遅れてしまいましたが、私は90歳までは寝たきりにならずに比較的健康で過ごせると信じてるので、先のことは考えないことにしてます。

2年半前に90歳11ケ月でなくなった親父は突然死というより直角死でした。即ち昼飯を食べて、さて次の行動に移ろうとしたとき、バタンです。

周りの人達の意見は『自分が苦しむこともなく、寝たきりだったり、病院で長時間苦しむこともなく,理想的』が、大半でした。兎に角辛いことは考えず、のんびり長生きした方が得です。

健康に留意して 長生きしましょう。

* **ゴルフ友達、トヨタ後輩***


「ああ驚いた」の収録編を頂戴しました。妻とともに読みました。
妻の妹が現在,抗がん治療を受けておりますが、折をみて見せてあげようかと思っております。

ともあれ大変興味深く参考になりました。有難うございました。

* **ゴルフ仲間、トヨタ先輩***


先日は、有意義なメール(死に関する)を有難うございました。
私自身、今年最愛の妻を亡くし、先立つ1年間の看病生活、妻亡き後の生活などから、いろいろと考えることがありましたので、大変興味深く読ませて頂きました。

ご返事をしようかと思ったのですが、多忙な毎日と、腰痛まがいの病気になり、じっくり文章を書くのが億劫になり、そのままにしていた次第です。

石松さんが、遠くにメル友が沢山(?)いることも知りました。私の意見は、一言で言えば、『突然死タイプが望ましい』と言うことです。いずれお会いした時に意見交換できることを楽しみにしています。

***ゴルフ仲間、トヨタ後輩***


癌死亡の件、定年退職者の世界と現役労働者の私とは別世界ですね。働かなくても収入が保障されているというのは、昔の人が夢見た「極楽浄土」ですね。

私はこれからは縁故者を、生きている者(生存努力が必要な者、小額年金の者を含む)、年金たっぷりの者、死者に3分類します。いずれにしても当分労働者の私からは、時間的にも人生の大先輩です。

*トヨタ同期・一年で退職・東大工&経済卒・元国家公務員キャリア・私大教授*

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