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健康
           
肺への転移疑惑(平成17年3月10日脱稿)

   がんの有無の検査手段は大変多い。しかし、残念ながらその精度は偽札の見分け方などに比べると大変悪い。厚生労働省の発表によれば、例えばバリウムを使った胃がんの有無検査の誤診率は40%もある。

   肉眼で直接観察も出来るし手で触れることも出来る乳がんの検査ですらも、医師の五感に頼る検査では当てにならないことが判明したため、主流は『マンモグラフィ』と称されているX線撮影に変わってきた。

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はじめに

   私の身近な親戚・友人・知人で、体調に異常を感じてからのがん検査ですら、異常なしとの診断を受け、一安心している内にがんが成長し、手遅れとなり永眠した人は枚挙に暇がない。私自身も検査でがんを見落とされたことも、がんの転移を疑われたこともある。つまり、がん検査の誤診は日常茶飯事なのだ。

   しかし、がん検査装置の精度の悪さや医師の未熟さを嘆いても何の付加価値も発生しない。この現実が日本のがん検診にかかわる医療技術の水準なのだ。この現実を認識した上で、自らの命を守るための自己責任努力が求められているのだ、と残念ながら覚悟せざるを得ない。

   とはいえ、がんの治療開始時に於けるがんの進行度をステージで表した時、進行度が進むにつれて各ステージの5年生存率は、総てのがんで悪化している、という厳然たる統計があるので、がんの早期発見への努力だけは、するだけの価値はあるのだ。その努力は初発がんだけではなく、再発がんや転移がんにも当てはまるため、完全寛解といわれた後でも、監視し続けざるを得ない。
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直近の主な検査

[1]豊田地域医療センター

@ 平成14年2月25日の定期検診(バリウム)・・・胃がんの見落とし。読影担当医師A。同年10月29日に大きさ3cm、ステージUの胃がんが見つかったので、半年前に既に発見しうる大きさの胃がんが存在していた筈との結果論から、医師Aは誤診をしたと判定した。通常胃がんの大きさは半年で2倍になるので、2月の検診では1cmを越えていたはずだ。それとも検診で見つかる最小サイズ未満だったのだろうか?
A 平成14年10月29日の定期検診(バリウム)・・・分化型胃がんの疑い(アナウンサー出身のタレント逸見正孝氏が患った胃がんで有名になった、治療が難しいスキルス胃がんでなくてよかった!)。読影担当医師B。
B 平成14年11月21日の内視鏡による検査・・・ほぼ胃がんと断定。しかし、食道がんは見落とされた。消化器外科医師C。
C 平成14年11月28日、疑惑部から採取した5ヶ所の生検結果・・・胃がんと断定。病理担当医師D。

[2]愛知県がんセンター

D平成14年12月14日。 がんセンターでの胃がんの内視鏡による再検査・・・独立に発生した、ステージ0の扁平上皮食道がんを2個、合計10cm*3cmを発見。消化器内科医師E。

[3]豊田市の加茂病院

E 平成16年12月17日の定期検診での、X線による肺がん検査・・・肺への転移の疑い。読影担当医師F。
F 平成17年 1月11日のヘリカルCTによる肺がんの精密検査・・・肺への転移の疑い。内科医師G。

[4]名古屋共立病院

G 平成17年 3月 1日、PET/CT・・・異常なし。読影担当医師H。
医師Hはがんセンターとの契約で私には診断結果は説明できない立場のため、所見を書いた診断書をがんセンターの主治医に郵送。

[5]愛知県がんセンター

H 平成17年 3月 7日。がんセンターの主治医・・・異常なしとのご託宣。放射線治療部医師I。

   上記で詳説したように、私の検診や治療に関係した医師A〜Iまでの9人のうち、A,F,Gは誤診をし、Cも一部誤診をした。大雑把に言えば40%もの医師が誤診したことになる。

   がんの診断は、常時がん患者と対面している専門病院の医師に比べ、総合病院の単なる医師の場合、経験不足が誤診の背景にあると思っている。また、集団検診の場合には、危うきにはアラームを出すとの方針があるのだろうか、再検査の結果無罪放免される場合も多い。
   
   がんが存在していないのに、存在しているとの誤診は、患者が再検査をする確率が高いので、がんが存在しているのに異常がないとの誤診よりも被害度は小さい。しかし、がんを発見したと称する検査をした医師に、治療を依頼するのは一考を要するようだ。
   
   例えば、胃がんと診断したのに、開腹したら正常だったと気付いた場合、医師は誤診を隠すために胃を切除する可能性が残るからだ。こんなことを金銭欲に駆られて意図的に実施したのは富士見産婦人科医院院長の北野千賀子(78歳)だったが、去る平成17年3月2日に医師免許を剥奪されるまで、25年間も掛かった!
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肺への転移疑惑経過

@平成17年 1月11日に加茂病院を訪ね、同病院付属の検診センターから定期検診で撮影した原寸大の肺のX線写真2枚を受け取り、当日の診察担当の内科医師Gに『この写真のどの部分に、肺がんの疑いがありますか?』と質問した。医師Gは右肺中央部の長さ数センチ、幅1mm位の白い薄い線を指差し、『これだと思います』、と言った。

肺がんは通常固まりが多く、線状の写真は見たことがなかった私は、『新型のヘリカルCT』を受けたいと申し出た。同日、CTを受け、写真を受け取り、再び医師Gの診断を仰いだ。『食道がんは消えています。肺には異常がないような気もしますが・・・』

『貴方の診断を疑うからではありません。がんの誤診はママありますから、私は1人の医師の診断に総てを委ねる意思はありません。そのためにはセカンドオピニオンも聞きたいと思っています。愛知県がんセンターの主治医宛てに、貴方の所見を書いた診断書を用意してください』と頼んだ。若い医師は不満そうだったが、準備してくれた。

今回のように同一病院で別の医師の診断を仰ぐと、最初の医師の診断を尊重する余りに、無理な判断をする恐れがあると感じた。特に集団検診の読影医師が先輩であれば、診断に自信がない場合は、尚更先輩の診断に追随する可能性が高く、セカンドオピニオンとしての価値も激減しかねない。

人が人の意見に左右されやすい現象は、ひとり医学界だけの問題ではない。心理学の種々の実験で、人間の行動の傾向として確認されている。自信のない難問の場合には、人は人の意見に影響されやすいし、いわんや欲も絡んだ株式投資(投機?)などの世界では、種々の噂にすら大勢の人々が今尚、日夜を問わず惑わされ続けている! お笑い事ではないのだ。

A 1月17日にがんセンターの主治医の下へ、医師Gの診断書及びX線とCTの写真を持参し判断を仰いだ。

『異常がないように思うが、肺がんの診断はX線よりも、PET/CTが遥かに解りやすい。X線写真は厚さ方向の情報が全部重なるために判りにくくなるからだ。私の専門は放射線治療。読影は専門ではないので、断言するほどの自信はないが、同僚の肺がんの専門医に聞くほどのことでもない、と思う』、との診断。

『今まで名古屋共立病院にはPETしかありませんでしたが、PET/CTが入ったのですか?』
  『入った』
『では、昨年12月6日に予約済みのPET/CTを、予定通り受けに行きます。その結果は何時、聞きにくればよいですか?』
  『3月7日、月曜日』
  『加茂病院の医師には返事を書いた方が良いだろうか?』
『ご面倒でしょうが、書いていただけませんか? 加茂病院で無理矢理書いてもらった経緯もありますが、それよりもあの若い医師の勉強にもなると思いますから』

B 3月1日に名古屋共立病院の問診で、看護師に今までのがんの治療と経過観察過程を報告し、今回は全身のスクリーニングだけではなく、肺がん検査に最大の目的があると補足説明。

過去3回と同じ形式のPETの写真4枚(大きなフィルムに何十個もの写真が写っている)と、今回初めてのPET/CTのカラー写真3枚(上半身の小さな断面写真が沢山映っている)を受け取った。これらは3月7日にがんセンターに持参するものである。

自宅でカラー写真を見て、足が震えるほどに驚いた。上半身に金環食のようにピンクに輝く臓器の写真が映っていたからだ。


蛇足

   PETではブドウ糖に陽電子を負荷させた薬剤を手の静脈から2〜3cc注入し、一時間後に検査を開始する。がん細胞はブドウ糖の消費量が普通の細胞の5〜8倍もあることを利用している。がん細胞に取り込まれた陽電子は陰電子と出会うとガンマー線を放出するので、カメラでキャッチできる。
   
   がん細胞の活性度が高ければ高いほどガンマー線の強度が強くなるので、地図の高度や天気図の温度分布のように、異常部ほど色調を強調した判別しやすい写真が得られる。

   脳もブドウ糖の消費量が多いのでがん細胞と同じ反応を起こすから、脳腫瘍の判定にはPETは役立たない。脳腫瘍はMRIなど別の検査手段が使われる。

   ブドウ糖の薬剤は直ぐに排泄されるので、腎臓・尿管・膀胱などでもがんと同じ反応を起こす。そのためもあってか、検査直前に排尿し、膀胱は空にして置く。それ以外のがんは一網打尽に見つかるとは言うものの、肺がん・食道がん・肝臓がんなどと比べれば、胃がんは発見し難いらしい。

   金環食が現れた臓器は一ヶ所だったので、腎臓の可能性は低いと自己診断。内部に大きな空間がある臓器は何か? 家庭の医学の解剖図と照らし合わせ、胃か心臓と推定した。しかし、心臓には通常、がんは殆ど発生しないと言われているのに、がんもどきのように映っているのは何故だろうか?
   
   胃がんの手術後、執刀医は私がまだ昏睡中に、待機していた荊妻や子供達に『胃の周囲に脂肪がつきすぎていて、リンパ節を探すのに苦労した』、と語っていたそうだ。我が執刀医は、胃がん手術件数は1000回を超える超ベテラン医師(平成19年度の日本胃がん学界会長に就任予定と、拝受した年賀状に書かれていた)なのに、がん化していたリンパ節を見落とされたのだろうか? ひょっとして、取り残しのリンパ節から胃全体にがんが広がったのだろうか? それにしても、自覚症状が全くないのは何故だろうか?

   検査に先立ち、写真が鮮明に映るからとの理由で、500ccほどの水を飲まされていた。金環食の内側の空間は水が入っている胃だろうか?

   心配になって名古屋共立病院の看護師に電話で、『写真の赤い臓器は何か、読影医師に聞いてきてください』と依頼。『がんセンターとの契約により、患者に直接結果を答える事は禁じられている。主治医から後日聞くように。質問は主治医を通してするように』との形式的な返事が戻った。
   
   とは言え、この返事で半分は安心した。本当にがんだったのならば、非常時なのだから、そこにどんな契約があったにせよ、何らかのコメントは出すはずと推定したからだ。

   已む無く、主治医にメールで質問をしたら『心臓ではないか?』との返信が即座に返ってきた。心臓は安静状態でも動いているから、ブドウ糖を消費している筈。今までのPETの説明書には書かれていなかったが、ありうる話だ。

   早速、インターネットで(PET、がん、心臓)を検索したら、私の場合と全く同じPETの写真が出てきた。賢人各位、下記のアドレスを是非クリックされたい。
   
   http://web.kanazawa-u.ac.jp/~med23/NMheart.html

   また、別の記事で、心筋梗塞の心臓と正常な心臓の差がPETで解る写真が出てきた。私の心臓はがんどころか、正常であった何よりの証拠だったのだ!

   http://www.jsnm.org/announcement/PETQ&A2.pdf

C  3月7日にPET/CTの写真を持参して主治医の診断を仰いだ。

『共立病院からは異常なしとの診断書がきています。治療後2年経った今、異常がないので食道がんと胃がんの最初の治療は成功していると考えていいと思います。

今後は再発と転移の経過観察に重点を移します。次回の検診は7月4日。その時に血液検査(マーカー値の測定)をし、内視鏡検査の予約をします。次回のPET/CTは来年一月にしましょう』と提案されて、一件落着。やれ、やれ!

やっと気も落ち着き、一昨年と昨年に続き、今年も沖縄県知念村漁業協同組合(098−948−1311)に、塩もずくを一缶(18Kg入り)注文した。塩もずくは冷凍保存すれば優に1年は保存可能だ。少量ずつ潮抜きをし、私が毎日少しずつ食べている唯一のがん対策健康食品だ。4月中旬以降に、本年の収穫品を販売開始するそうだ。
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おわりに

    昨年末から暫く気も落ち込み、食前に気晴らしのビールを飲んでいたためか、小さな胃は炭酸ガスで満たされて食が細くなり、カロリー摂取量が減少。朝夕2回の入浴時には太股の周長を両手で確認すると共に、定時計測していた体重が2Kg減り、びっくり仰天。健康度は体重で管理できるはずと確信している私は、1月中旬以来、在宅時(月火木金)は断乎として1日4食主義に戻った。昼食を10:00と14:00の2回にしたのだ。

    胃がん手術後1年もすれば体も慣れてくるので、1日3食の通常の生活に戻れる、とどのがん関係の本にも患者を喜ばせるようなことが気楽に書いてあるが、私の体験からは大いに疑問だ。胃は決して大きくはならなかった。テニスクラブでの昼食では、定点観測として焼きそば大盛りを2回に一回は食べ続けたが、ビール抜きにしても、食べ尽くすのにいつも苦労しているからだ。

    しかし、1ヶ月間の悪戦苦闘が実り、やっと2Kgの体重の奪還に成功して、ほっと一息!

   私はがんを恐れる余り、多少検査過剰になっているのかもしれないが、検査に掛かる自己負担金は大変安い。福祉国家日本のおこぼれにあずかっていると実感した。昨年は荊妻のペースメーカーの手術もあった(身障者手帳取得後は、本人の医療費は無料になった)が、2人の医療費の合計は10万円にもならず、残念ながら確定申告の対象にもならなかった。
   
   しかし、何時再発や転移がんが発見されるとも限らないので、昨年計画した、死ぬ前の挨拶だけは機会が来る度に一つずつ実施していく予定だ。取りあえず決まっている当面の予定は、

@ 5月4日。大丸百貨店の東京店のレストランで関東地区の遠賀中学同期懇親会。
A 5月15日&16日。名古屋市内で九大航空工学科同期懇親会&万博見物会。
B 5月19日&20日。阿蘇山で九大教養部理科1年6組の46年ぶりのクラス会&ゴルフ大会。

   4月7日〜16日までは荊妻と共に、JTBのペルー世界遺産紀行に参加するので、4月9日に予定されている、東海地区東筑高校同窓会(伊勢神宮参拝+榊原温泉)への参加は已む無く欠席。こちらの同窓会での死ぬ前の挨拶は来年に延期。
   
   多重がんの治療後に、エジプト・ロシア・ドイツ・フランス・オーストリアに続きペルーへも出掛けられる体力に戻れたことを喜びつつ、的確な治療をして頂いた一流の医師達に対してだけではなく、今までもこのメール同様、お届けしたメールをお読みいただいた後、数え切れないほどの数に達した励ましのメールを賜った、18グループ250余名の賢人各位に心から感謝すると共に、ご多幸を祈念しつつ・・・。
      
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最新の検査(平成18年6月23日)

   平成18年6月23日に愛知県がんセンターにて食道がんと胃がんの経過観察を内視鏡で実施。のど元にゼリー状の麻酔薬を噴射するだけではなく、内視鏡挿入直前に全身麻酔剤を注射した。注射後数秒で半覚醒状態になり、内視鏡検査に特有な苦痛は全く無かった。ルゴール染色法による食道がんの検査もつつがなく終了。

   消化器内科部の澤木医長に『経過観察の継続性を重視するために、いつも澤木先生を指名させていただいています』と言ったら『ありがとう、石松さんのことは覚えていますよ』とのご返事。内視鏡検査室は暗室状態なので、無数に出会う患者の顔など覚えられるはずは無いと思っていただけに意外性を感じた。

   看護師に今日は車の運転はご法度と強く注意された。検査後は休養室で1時間熟睡。目覚めた後、主治医で放射線治療部長に検査結果を聞きにいった。

   『食道がんも胃がんも完全に治ったと考えてよいと思います。再発の兆候は全く認められません』『でも、治療後まだ3年半しかたっていません。5年間は経過観察を希望します』『今後は肺がんと大腸がんに重点を置きます。万一肺がんが見つかれば、陽子線治療を想定しています。第6回目のPET/CTは10月17日の予約、次回の来院は10月27日で如何ですか?』『その通りに、予約をお願いします』

   私は放射線は許容限界まで既に受けているため、最早がん治療に使えないことは承知していた。愛知県がんセンターには陽子線治療設備は未だ導入されていないが、名古屋市に導入する計画があるらしい。万一名古屋市の設備が間に合わなくても、静岡県がんセンターなど国内には数箇所に導入されているから心配はしていない。

   陽子線治療には未だ国民保険は使えない。全国一律料金(2,883,000円)の全額自己負担は、文字通り細々と生きている年金生活者には痛いが、命には代えられないと覚悟はしている。
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