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旅行記
           
日本

■九州中部(平成19年3月30日脱稿)

   21世紀に入った頃からか、各旅行社から送られてくる国内旅行の募集で『ミステリーツアー』を目にする頻度が何故か高まった。各百貨店の初売りでの定番商品『福袋』商法がますます盛んになっているのに似た現象だ。

   バブル崩壊後の長い不況に苦しんでいる国民が、ささやかな夢を求めている何よりの証拠だ。

 
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はじめに

   私は中身を開示しない商法には詐欺性を看取し不快感がむらむらと沸き起こり、今まで一切無視していた。ところがミステリーツアーに参加した友人から面白かったとの体験談を何度か聞かされていた荊妻からある日突然、阪急交通社のミステリーツアーに出かけたいとの提案を受けた。

   私は老いても子に従う気は全くないが、定年退職後はお金の支払いで済むものならば離婚の慰謝料以外、荊妻が発するどんな提案でも機械的に賛成する方針を堅持していたので、仔細を検討することも無く阪急交通社のミステリーツアーを即座に申し込んだ。

   福岡・佐賀・熊本・大分・長崎の各県を走り回る、阪急交通社お得意の盛り沢山な旅だった。その中に特筆したい訪問地が2箇所も含まれていたので、そこだけの短編旅行記として纏め、ホームページに載せることにした。

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ミステリーツアー

   今回の阪急交通社のミステリーツアーとは、出発日・集合場所・日数・旅費のみを明示して募集し、旅行地・ホテル名などの詳細は中部国際空港の集合場所で開示される企画だった。

   現地での移動は総て同じバス。ガイドと添乗員付き。参加者の殆どは老人(私は68歳になっても老人との自覚が未だに不足したままだが・・・)老女。合計29名。

   出身地の福岡市とその周辺には今や全く関心のなくなった荊妻は3日目の正午、シーサイドももちに到着するや否や離団。実母と都心の天神で再会し、私とは福岡空港のゴールドカードのラウンジで16:30に合流。

@ 1日目(3月21日)。

   中部国際空港⇒福岡空港⇒大吊り橋⇒瀬の下高原⇒やまなみハイウェイ⇒阿蘇温泉郷(阿蘇ファームランド)。

A 2日目(3月22日)。

   阿蘇ファームランド⇒草千里ヶ浜⇒阿蘇火山博物館(ロープウェイによる阿蘇登山は噴出ガスの流れが悪く危険との理由から、直前に行き先を博物館に変更された。差額処理の清算が不要になるようにするためか、ロープウェイの料金と博物館の入場料金は同額)⇒阿蘇の秘湯『垂玉(たるたま)温泉』の露天風呂⇒阿蘇ファームランドで昼食⇒阿蘇大観峰(展望台)⇒日田市豆田町散策⇒西海国立公園(九十九島の遠望)⇒佐世保市(弓張りの丘ホテル)。

B 3日目(3月23日)。

   弓張りの丘ホテル⇒伊万里・大川内山散策(秘窯の里を散策)⇒唐津・虹の松原(車窓)⇒シーサイドももち散策・福岡タワー⇒観光会館博多(昼食)⇒大宰府天満宮(参拝)⇒福岡空港⇒中部国際空港。

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日本一の人道吊り橋


@ 大混雑

   詳細は( http://www.coara.or.jp/~kujuaid/contents/turibasi.html )をコピーしグーグルのアドレス欄に貼り付けて検索すれば出てくる。

   大分県九重町は同町のど真ん中の標高777mの峡谷に19.22億円もの工事費を投じて、人道としては長さ(390m)も谷底からの高さ(173m)も共に日本一(世界一でもあるらしい)の吊り橋を平成18年10月30日に竣工させた。

   谷の両側には人家も見当たらず、客観的に考えると道路が必要な場所とは思えなかったが、峡谷の真上に位置する橋の中央から谷底や山の斜面を眺めると、日本では体験し難い絶好の景観を満喫できる場所だった。滝も美しく、新緑と紅葉の季節はベストシーズンのようだ。

   観光開発を目標とした九重町の目論見は順風満帆(まんぱん)。観光客が殺到。開通後の二ヶ月間で50万人を突破。半年で100万人も押し寄せそうな雲行き。開通直後は5時間待ちもの大渋滞だったそうだ。我がバスも30分くらいの渋滞後にやっと大駐車場に到着。

   吊り橋の幅は僅か1.5m。右側通行で往きの客とUターンする帰りの客とがすれ違うが、満員に近く、立ち止まることも追い越すことも気軽には出来ないほどの活況。橋の中央には専従の保安要員がいた。足がすくんで横断できなくなった人は手を繋いで連れ戻すそうだ。

   橋の入り口には交通整理の保安警備員。橋を渡り終えると緊張からかトイレに出かけたくなる人が多く、対岸の出口では半券を持ったままトイレに出かけて舞い戻るシステム。帰途が不安な人のために有料のシャットルバスが待機していた。

   大駐車場と橋の入り口との間には大型お土産店。大駐車場の出入り口には大勢の交通整理を兼ねた保安要員。駐車場の一角では大型土木機械を動員しての大拡張工事の真最中だった。

   雨降りに傘を差すのは厳禁。風で傘が飛ばされる恐れもあり合羽着用との掲示。

   私はこの吊り橋の存在は今回の旅に参加するまで全く知らなかった。しかし、旅行体験を報告したゴルフやテニス仲間には知っている人が多かった。ワイドショーでは北海道夕張町との智恵の格差もネタにしながら紹介されていたそうだ。

   私が知らなかったから宣伝不足だと言っても統計的データにはならないが、今秋ともなれば知名度は更に上がり、観光客が殺到する筈との狸算を地元ではしているようだ。

A 橋の特徴

   明石海峡大橋のような自動車が通る橋と人道専用吊り橋とには構造上に大きな違いがあった。横揺れ防止手段の有無である。人道吊り橋は質量が軽く剛性も小さく、無対策ならば谷間の強風で左右に大きく揺れる恐れは充分にあるからだ。



   橋の下で且つ橋から大きく離れた位置に、吊り橋のメインケーブルよりはやや細いケーブルが2本、中央部では高く橋の両端では低くなるようなアーチ状に張られ、そのケーブルと橋とをワイヤーで繋いでいた。

   横揺れ防止のワイヤーの数はつり橋を垂直に吊っているワイヤーの丁度半分だった。橋が下(上)流側に揺れる時には上(下)流側のワイヤーで引っ張られることにより制振される。鉄塔の倒壊防止のために四方に向って張られているワイヤーの目的と同じだ。

B 観光投資としての採算性

   1988〜1989年にかけて竹下内閣が全国の市町村に『ふるさと創生事業』の資金を一律一億円ばら撒いたが、画期的な成功を収めたと称する事業は聞かないままだ。たったの一億円ではまともな事業が出来る筈も無いが・・・。

   大分県には、大山町で昭和36年に『梅・栗植えてハワイに行こう』とのスローガンをかけて大成功した歴史がある。昭和36年とは私が未だ大学4年生、今から46年も昔だ。同年のトヨタ自動車工業の大卒の初任給は17,000円。ハワイ旅行など夢のまた夢の時代だ。

   その後、大分県では一村一品運動を初め、由布院の温泉郷や天領日田市の旧市街豆田町の観光開発などユニークな発想の元に大成功した事例には事欠かず、かつての富士製鉄による大分製鉄所の建設などの巨大投資ですら、庶民にはすっかり忘れ去られる勢いだ。

   この橋の入場料は中学生以上500円、小学生200円。春休みにもかかわらず今回の観光客には大人が断然多かったので、団体割引を考慮しても平均入場料は400円にはなると推定。リピータがゼロと仮定しても日本人の物見高さを考慮すると10年間で500万人は優に集まるのではないか。とすれば、入場料だけで橋の建設費は回収可能だ。

   収入は入場料だけではない。観光土産や昼食代・ガソリン代、時には宿泊代の方がむしろ多額になり、これらの総ては最終的には地元の関係者の懐を潤し、新規の雇用力にも繋がる。誰でもが生まれ故郷で働けるのが最も幸せと感じる時代になった今、画期的な成功事例だ。

   各地のテーマパークが青息吐息なのに比べ、比肩すべきものがない『日本一の吊り橋』との看板は強い。近く、ギネスに人道吊り橋の項目を新設してもらい、登録申請も計画中とか。
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阿蘇ファームランド

   この珍しいテーマパークを兼ねた観光ホテルの、ディズニーも顔負けの奇抜な発想には些か驚いた。詳細は( http://www.asofarmland.co.jp/ )をコピーしグーグルのアドレス欄に貼り付けて検索すれば出てくる。

@ 宿泊設備

   ここの宿泊設備は総て1戸一室。外観も大きさも中央アジアの遊牧民の移動式住宅パオ(ゲル)にそっくり。内部に4ベッド・ユニット方式のバストイレ洗面所・テレビ・箪笥・空の冷蔵庫など設備は最新の洋式ホテル並み。一室の広さは優に40平米はありそうだ。

   毎朝のチェックが大変なミニバーを設置するよりも飲み物は売店で売り、室内の空の冷蔵庫を自由に使わせる方式が人件費も節約できるためか、観光ホテルでは全国的に増えてきた。



   コテージの基本材料は、表面に強化樹脂が張られ内部が厚さ20cmの発泡スティロールで構成された複合材料。半球殻を子午線に沿ってスイカのように分割したボートのような形状の素材を、鳥篭状に組み立てた骨組みに嵌めこんで屋根兼壁を形成。小さな窓が数箇所。中央の天井には小さな天窓。

   温度調節ダイヤルが封印されていた小型のエアコンと床暖房だけで室内は30度近い初夏のような暖かさ。発泡スティロールの断熱性能に改めて驚く。構成部材が軽量なので基礎も簡単だし、構造部材も細く究極の軽量ローコスト住宅になっている。

   敷地が広大なためか風呂は中央の大型ボイラーからの給湯ではなく、各戸にガス給湯器を設置し、熱損失を最小限に食い止めているのも合理的だ。

   広大な敷地内にこれらの家が何と430棟。宿泊定員は都心の超大型ホテル並みの1,600人。ホテルの案内所からマイクロバスが8箇所のバス停を5〜10分間隔で巡回している。我がグループは幸い一番近いAゾーンに属していたから歩くだけで済んだが・・・。

A 露天風呂

   構内の一角には男女各1,000坪の敷地に阿蘇健康火山温泉と称する、サウナや露天風呂・薬草風呂・岩風呂などアイディア競演の風呂が18種。全部を体験する前に2Kgもの汗を掻き疲れてしまった。

B 関連設備

   一般車2,500台、バス100台の大駐車場、11ものレストラン、グラウンド・ゴルフ場、阿蘇工芸村、阿蘇ミルクファーム、食祭市場、その他いろいろな設備があり、あちこちの活況ぶりに驚く。宿泊だけでの時間では回りきれない。   

   単なる観光温泉ホテルでは集客力にかげりが見え始めた今日、阿蘇山のカルデラの中に忽然と現れた宇宙基地を連想させるような阿蘇ファームランドは、来客に新鮮な驚きと感動を与えているためか、大繁盛していた。
 
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おわりに

   定年退職した頃計画した海外旅行の目標達成も指呼の間に迫ってきた。昨年秋のコーカサス旅行完了時点で(64ヶ国/68歳=94<100)になった。この間、国内旅行への関心は落ちたままだったが、昨年末から少しずつ復活したら、過去10年の間に各観光地が見違えるほど快適になり魅力を増していることに気付いた。

   去る3月16日に松下電器製の50インチフルハイビジョンプラズマテレビを通販で購入(312,300円)。世界遺産など観光地の映像番組を見ていたら、じっとしては折れなくなった。たったの半月で大型ハイビジョンの虜になってしまった。

   今後の確定計画(日程は調整中)はCDEだけだが、高校卒業50周年記念懇親会など、どんどん追加する予定だ。

@ 四国(12/27-29。夫婦)
A 那須塩原温泉(3/14-15。関東地区在住中学同期会)
B 今回のミステリーツア(3/21-23。夫婦)
C 帰省して九大航空工学科同期会に出席(5/24-28。福岡市)
D 屋久島縄文杉登山(梅雨明け後の7月下旬頃。ゴルフ仲間と一緒)
E トヨタ同期の親友8人の懇親会(今秋、強羅温泉)

   海外旅行は来る4/10-4/27のバルカン6ヶ国訪問で遂に目標を突破(70ヶ国/68歳=102>100)する予定。今後は国内旅行にも判りやすい新目標を立てながら余生を楽しみたいと思っている。

   賢人各位。屋久島に一緒に行きませんか? 『縄文杉』とは我が恩師『故真鍋大覚』先生が命名された屋久島で最も有名な杉の木の名前。私はマルチタレント学者、真鍋先生への感謝の気持ちも込めて拝観に出かける予定。

   蛇足その1。
   
   真鍋先生の異能振りはグーグルの検索窓に『真鍋大覚』と入れて検索すれば300件以上もの記事が現れることでも判ります。先生は庶民の世界では『地震雲』の命名者としても、元寇の役での台風の規模の推定者としても有名。本職は航空機運動安定論。
   
   蛇足その2。
   
   授業中の余談の一つ。釣り人が安全と思われる岩場で、風も波も穏やかな天候にもかかわらず、突然大波にさらわれる事故は海洋波の性格に起因している。
   
   海洋波の高さの確率分布曲線は『Layleigh(レイレイ)分布』で近似される。極めて稀な確率だが大波が現れる現象はレイレイ分布で説明できる。レイレイ分布曲線の確率密度関数式はグーグルの検索窓に『レイレイ分布』と書き込んで検索すれば出てくる。

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読後感

週末に短編を送って下さったので直ぐ読めました。

国内も中々捨てた物では無いですね。阿蘇は多分1970年頃に横断していますが。一昨年日本へ滞在中は名古屋近郊のハイキングコースを歩き回っていました。ただひたすら早歩きしただけですので、ざっと見ただけで終わってしまいましたが。

夕張と阿蘇ではやはり知名度に徹底的に差があるような気がします。差が有る事を夕張が自覚して知恵を絞れば何とか成ったか知れませんが(昨日TVで夕張市役所の退職者が放映されていました)。日本の観光地は当面大勢の定年退職者で何とかなるかも知れませんが、将来的には海外観光客を受け入れる体制にしないとやって行けないと感じていますが。

蛇足
順風満帆 この歳まで間違って覚えていました。荊妻に次いで新語の勉強が出来ましたが小生のPCでは変換出来ませんでした。

新ホームページに成ってからページ表示が無くなったので長編を読むには正直言って覚悟が要ります。私には出来ませんがページを打てるように出来ると読み易いのですが。

@ トヨタ後輩・工・ゴルフ仲間・タイで持ち家・自力で見つけた就職先の会社のタイ工場の建設中
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「奥さんのどんな提案も機械的に賛成する方針」とはまことに天晴れ!石松さんだけはそうはしないと思っていたから。

実は、私も同じ方針です。性格も趣味も正反対な私ども夫婦は、退職後の日常生活は食事以外まったく別々。私はスポーツと外出。妻は絵や書道などの習い事と室内作業。唯一の接点は旅行。従って、旅行の行く先や時季などはすべて妻の言うとおり。

「ミステリーツアー」を「百貨店の初売り福袋」とはうまく言い当てたもんだ。今の時代を見通したヒット商品だと思います。国内旅行はどこへ行っても特別な遺跡以外は都市の景観は同じ、旅館もホテルも同じ、食事もおんなじ。

楽しみは旅行仲間との語らいが中心。ならば、行く先に迷うよりお任せにしたほうが楽だ。ささやかなミステリーのおまけが付けば仲間との話題も増える。

話のネタに一度は行ってみたいと思っています。妻に提案したら、「あほらしい!」で却下。

「日本一の人道吊橋」は写真を見ても足がすくみそう。元祖の吊橋を妻がちぎり絵にしたものがあるので添付します。

A トヨタ先輩・工・ゴルフ&テニス仲間
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九重夢大橋が大盛況であることは、新聞やローカルTVなどで知っていましたが、まだ行っていません。極端な高所恐怖症の家内を説得して近いうちに出かけようと思っています。

それにしても過疎に悩む村がアイデアひとつで活性化できる好事例とは思いますが、自然との調和を最優先に考えて欲しいですね。

阿蘇健康ファームは全く知りませんでした。孫の夏休みにでも連れて行けばきっと大喜びすると思います。

ところで蛇足その2に関してですが、海洋波について最近フリーク波なる巨大波の存在が知られるようになりました。少し調べたものを添付しますので、ご一読ください。 

石松注。フリーク波(巨大波)については全く知らなかった。すっかり過去の人間になっていたとがっくり。突然発生するフリーク波により大型船が沈没する海難事故と密接な関係があるらしい。グーグルの検索窓にフリーク波と入れて検索すると50万件以上もの情報が現れた。以下にその中から一つだけ抜粋したものを貼り付けた。

異常波浪は太古より存在し、海員や漁師たちにより様々に語り継がれている。しかし、フリーク波について科学的研究が始まり研究論文が現れだしたのは比較的最近のことである。

世紀の変わり目の2000年に北海の観測点で極めて大きな孤立した大波高の波が観測されて以来、フリーク波の存在は大方の認める処となり、今世紀にはいるとこの現象に特定した国際シンポジウムが相次いで開催され、大型プロジェクトが開始された。

我が国でもこの様な傾向が最近顕著になってきているのは喜ばしい限りであるが、このやや風変わりな現象の解明に取りかかるに当たって誰しもが突き当たる問題はフリーク波とは一体何であろうかと言う素朴な疑問である。

B 大学教養部級友・工

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