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健康
           
尿線分裂(平成18年8月29日脱稿)

   ゴルフ仲間のトヨタ後輩がある時、『おしっこの時に洋式便器を汚すようになった。石松さん、そんな体験はありませんか?』、と質問した。

   横で聞いていたトヨタ同期が、『大の時と同じように、座っておしっこをしている』、と代返した。

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はじめに

   加齢と共に肺活量は小さくなり、視力も減退してきただけではない。各種身体機能は徐々に低下してきた、と色んな機会に思い知らされるようになった。尿線分裂もその一つだ。

   私も数年前から時々、尿腺分裂を体験し始めた。尿腺分裂とは排尿時に尿が数条に別れ広がって落下する現象だが、排尿時に必ず発生するとは限らない。しかし、最悪時には尿で便器を汚すどころか、床に尿が飛び散ることすらもある。
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試行錯誤

   尿線分裂を体験し始めた頃は、陰茎と陰毛とが絡み合って、陰茎が正面に向かっていなかった状態だろうと思った。その対策として一日2回(朝と夜)の入浴時に、顔と同じように陰部を石鹸で念入りに洗った。女性が朝シャンをして髪の毛を縺(もつ)れさせないようにしているのを、単純に真似ればよいと思ったのだ。しかし、解決策にはならなかった。

   衣服の構造にも疑問を感じた。3年前エジプトに出かけるとき、30年振りにジーパンを買った。ジーパンは体に密着するので、チャックを下ろしただけでは、小さな陰茎なのに摘み出し難かった。そのため、陰茎の一部がジーパンで加圧され正面を向かない場合もあった。それを避けるために、自宅ではジーパンの前部を下に下ろすようになった。しかし、それでも必ずしも解決しなかった。

   試行錯誤の結果、放尿時の陰茎の過剰収縮状態に原因があると推定した。勃起状態で放尿すれば綺麗な放物線を形成するのではないかと推定。たまたま勃起した時に排尿を試みた。しかし、これにも失敗した。霧吹きのように尿線は更に分裂した。
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知人の対策


   身近な数人にメールで個々に尋ねると、下記の回答を得た。

A氏。
   大と同じように洋式トイレに座って排尿する。

B氏
   自分は飛沫で便器を汚すことがあり、その都度紙で拭いております。

   実はこうした事についてジェンダーフリー主義者が、これは男が女性に迷惑をかけていることであり、男性も座って排尿するべきだとの主張を読んだことがあり、これに従っては男を捨てることになると思い、座る事はやらないつもりです。ジェンダーフリーは日本を滅ぼすと思っています。

C氏
   私は前立腺肥大症で排尿時、スタートが遅く且つ排尿速度(時間当たり吐出量)が若い頃の正常時に比較して1/2〜1/3。従って、吐出開始時、腹圧をかけて押し出す。するとご指摘のように予期せざる方向に噴出することがある。

   妻から幾度か苦情を言われ考案した方法は、排尿開始時、尿道の弁を開くのをゆっくりさせ、小出しに滴下させる。方向が不正なら筒の方向を手で補正、徐々に腹圧を上げ巡航速度にする。

   最後は尿道残留分を押し出す時、肛門括約筋(?)の緊縮を数回に分けて行う。排尿所要時間は2〜3倍かかり、混みあう便所は苦手です。

D氏
   20年前、自宅をパルコンで新築する時にトイレを食堂や居間のある一階と、寝室中心の二階双方に設けることに迷いはありませんでした。高齢になって夜間トイレ回数が増えるとは聞いていましたので、足腰の弱った年寄りが寝ぼけ眼で階段を降りる危険回避に手を打ったのは実に正解であったと思います。しかし、一晩に3回も厄介になるとは予想しないことでしたが・・・。

   双方とも洋式にし、シャワレット付きにしたのも”痔主”階級の者としては大正解であったと思います。ただ、そのトイレに男性用の小便器を設けるかどうかは迷いました。結局、そのスペース確保が勿体無く思われて”朝顔”は設けませんでした。

   小用をたすとき、便座を上げてやっていたのですが、いつの頃からか両手を添えても狙いが定まらなくなりました。どうやら、水勢が無くなり、あまつさえ”切れ”が悪くなって間歇的な放水になってから、思わぬ方向に飛散する率が増えたようです。膝をついて汚れた床の後始末をするのも億劫になり、小便も便座に座り込んで致す仕儀となりました。

   海外旅行で、自分より高齢者が専ら”大”用に入るので、「下痢でも・・・」、と聞きましたら、「届かないので、いつもこっちですヨ」、と返ってきて、安心しました。気をつけて観察していましたら、旅慣れた高齢者には”小”時にも”大”の愛用者が多いようでした。その際、便座を上げての立位か、便座に座っているかどうかまでは確認してありません・・・。

   それにしても、欧州の男性用朝顔の高さは少々日本人泣かせで、我々よりもチビの多いフランスやイタリアでもそうですから、日本人への嫌がらせかと勘ぐりたくもなります。実際は、背は低くても脚が長くて彼らには不自由しないのかと思うと、チョット癪でもあります。

   中には、やけにコンパクトな朝顔もあり、それでも彼らの一物を収容するには十分なサイズのようで、床に汚れが認められないのはそれが優れた設計である証拠でしょう。日本の公衆トイレで、「一歩前へ」などの張り紙を良く見かけますが、日本人の平均的股下一杯の高さに溲瓶サイズの口を設けておけば、床の汚れ解消と資源の節約になるのではないかと愚考するものです。

   ところで、最近の若い者が”小”をたすとき、Mボタンを外して一物を引き出すのではなく、バンドを緩めてパンツを下げた格好で致しているのを公衆便所等で見かけます。いかにも隙だらけの格好で、平和日本を象徴しているのかとも思いますが、どうも・・・。
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最新のトイレ機器

    我が家は築32年。20年くらい前、洋式トイレに温水洗浄装置を追加設置しただけのまま。機器も老朽化したのでリフォームすべく、TOTOとINAXの分厚いカタログを入手した。

    最新の機器の特徴とは、節水・節電・便座の自動開閉・大小の自動判定後の洗浄・水道直結によるタンクレス・除菌・清掃時に電動でリフトアップ・マッサージ洗浄・泡ジェット洗浄・着座感知センサー・脱臭・ノズルオート洗浄・スローダウン便座などなど、限りないほどのアイディア満載。

    目次で『高齢者配慮商品』を発見したので、尿線分裂対応型かと期待してページをめくると、単なる電動式便座昇降機付商品に過ぎなかった。

    最新のトイレなら尿線分裂対策も取り込んでいるかと期待したが、メーカーの怠慢なのかそれらしき機能は遂に発見できずがっかり。

    但し、小便器の形状は少し変わったものがあった。かつての衝立に近い平板な形から、側壁を広く大きくし、下部は深い筒状となり、180度の広がりで放射された場合の飛沫の補足率は格段に向上するのではないかと推定した。しかし、我が家には小便器を設置するスペースが無く、猫に小判。
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インターネット

    インターネットで尿線分裂を検索すると、前立腺肥大症の症状の一つとして書かれているだけで、前立腺が肥大すると何故尿線分裂が発生するのかの説明はとうとう発見できなかった。

    これでは尿線分裂の対策としては前立腺肥大症の治療になってしまって大げさすぎる。結局、死ぬほどの症状とは程遠いので、医療関係者の関心も引かないのであろうか。

我が推理
    
   卑しくも粘性流体力学を多少は齧った者としては以下のように考えたが・・・。

    膀胱から尿道に流れ込んだ尿流の初期は層流と推定。しかし、尿道は途中で前立腺に挟まれる。肥大化した前立腺に圧迫されて断面積が縮小した尿道の中を尿流が通過する時、断面積に反比例して流速を増し、層流から乱流に変化したと推定した。

   前立腺に挟まれたいわば関門(オリフィス)を通過した尿流の流速が低下して元の層流へと変化するには、残りの尿道が短すぎる。陰茎先端の開口形状は老化で変わらなくとも、乱流となって過流化した尿の進行方向はまちまち。つまり四方八方に飛散する。

    乱流化を阻止する唯一の対策はレイノルズ数の低下。つまり尿圧を下げて流速を落とすことに尽きるのではないか、というものである。C氏の対策は粘性流体力学の理に適っていると判断したのだが・・・。

蛇足。

    我が推理が正しいならば、前立腺肥大症の自己診断も可能だ。尿線分裂が時々発生するようになったか否かで判定できるからだ。

E氏の推理。

    E氏は10年以上も前から前立腺肥大症に罹り尿線分裂を体験している。氏の体験では排尿時以外のときは陰茎先端の穴は閉じている。閉じた穴は尿圧で開かれるが、前立腺肥大症になると尿圧が不足し、穴が完全には開かず、中央部が密着したままになるため象の鼻のようになり、左右の2個の穴から尿が噴出するのだそうだ。

    その対策として、排尿時には亀頭の左右を指で圧迫すれば穴が完全に開くので、尿線分裂は起きないそうだ。あるとき、E氏の排尿を観察したら、説明のようにはならず尿線分裂が発生していた。
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おわりに

    画期的な対策も発見できなかったので、扉の無い部屋で小便器を使う場合は、極力注意を払うだけ。自宅では扉付なのでズボンの前面を下ろしたままの立位。便器を汚した場合はやむなくトイレットペーパーでの拭き取りに落ち着いた。

    もう少し老化が進んだら、嫌々ながらの座位で我慢することになりそうだ。

    賢人各位はどんな工夫をされていますか?

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